その場に腰を下ろすと、我が子の顔を舐めるようにして歯を食い込ませた。
動画にはライオンの歯の音なのか、「カチ、カチ」という音が録音されており、ツアー客の一人がショック状態で「食べているぞ」と呟いている。
クラウスさんは当時の車内の様子について、「私たちは最初、母ライオンが赤ちゃんをくわえて歩き始めるのかと思った。だからまさかあれが、赤ちゃんの最期の姿になるとは思いもしなかった」と語ると、このように続けた。
「母ライオンが赤ちゃんを食べていることに気付いた時は、驚き、言葉を失った。でも私たちにできたのは、その様子を見ていることだけだった。」
「そして赤ちゃんを食べた母ライオンは立ち上がり、まるで何事もなかったかのように歩き始めた。地面には死骸が残ったままで、車内は異様な静けさに包まれていた。」
なお『Latest Sightings』は「ライオンは飢餓やストレスなどにより共食いをすることがある」と指摘するも、この動画には次のようなコメントが寄せられた。
「赤ちゃんはすでにかなり弱り、死にかけていたようだ。赤ちゃんをくわえる母の表情がとても悲しそうだもの。母は我が子を殺さなければならないことを分かっていたのよ。」
「母ライオンはきっと、赤ちゃんを舐めて目を覚まさせようとしたのかも。ただもう長くはないと悟ったのでしょうね。厳しい自然の中では、たとえそれが我が子であったとしても、無駄にせずに食べるのよ。」
「残酷だけど、これが自然。弱っている個体は淘汰されるということ。そうでないと、自分や他の子だって危険に晒されるから。」
「まだ若い母ライオンなのでは? もしかしたら、赤ちゃんを死に追いやったのは母ライオンなのかもしれないね。」
「母ライオンが子を殺すだろうか? もし病気だったら置き去りにするのでは?」
「母猫だって、弱っている子を食べるよ。」
「母ライオンは飢えているようには見えない。子を食べたのは生存できないと悟ったから。他の動物に殺されるより先に、自ら手を下したということ。犬だって同じだよ。」
「動画に赤い矢印が表示されたでしょう。あの時、赤ちゃんは最期の呼吸をしたのよ。つまり母ライオンが食べた赤ちゃんは、すでに死んでいたの。」
「悲劇だ。」
「直視することができなかった。」
画像は『Latest Sightings 2023年5月23日付「Lioness Bites Her Cub’s Head Off」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)