別の客に「あんたらどっから来たん?」「へー、子供は? 娘が独身? ちょうどええのがおるわ」といった感じで、それを見ていた有野は「まあハズレなしでウケてはる。これをやりなさいって言われても無理や」と舌を巻いていた。
ある日のこと、有野が劇場に寄るとトリを務める先輩漫才師が楽屋のモニターを見ながら「舞台降りてくれへんわ」と笑っていた。正司敏江さんの客いじりが長引いて予定時間をオーバーしていたのだ。有野は先輩漫才師に「これは止めてきていいんですか?」と確認をとって客席に向かうと「敏江ちゃん、もう帰ろう!」と声を掛け、「あ、後輩のよゐこ有野ですー」と客に挨拶しながら敏江さんをお姫様抱っこしたところ「いや! 力持ちやねぇ!」と嬉しそうにしていたそうだ。
ちなみにタレントの松尾貴史は、Twitterで「この方ほど、体を張った漫才を他に知りません。時代を築かれて、後進にも助言を惜しまない素晴らしい先輩だったと聞きます」と正司敏江さんを哀悼しており、他にもTwitter上で「数年前、ピン高座を観たときも客席に降りて話し掛け笑わせていた。偉大な芸人さん。合掌」という声があった。
三味線奏者の虹友美さんは、Twitterで正司敏江さんと並ぶ記念写真とともに「関西演芸協会でお世話になっていました…演芸協会の行事や、舞台でご一緒した時は、いつも優しくお母さんは元気か? 子供は何歳なったんや? とお声をかけてくださいました」と冥福を祈っており、師匠の気さくな人柄がうかがわれた。
画像は『有野課長と呼ばれたり 2021年9月19日付公式ブログ「御疲れ様で御座いました。」』『虹 友美(なないろ三味線) 2021年9月20日付Twitter「夜分失礼致します」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)