エンタがビタミン

writer : sekihara

【エンタがビタミン♪】坂本龍一 『戦メリ』の曲は「意識をなくし目覚めたら譜面になっていた」

また、レオナルド・ディカプリオが悲願のオスカーを獲得した『レヴェナント:蘇えりし者』(2015年)では、「あえて途切れ途切れでなるべく音楽にしないようにした。この映画の主役は自然の音。風、鳥やコヨーテの鳴き声が主役で、音楽はそれを際立たせるためのもの。そこは監督の意向ともバッチリ合っていた」とあくまでもそれぞれの作品の中での音楽の役割について追求している姿勢を垣間見せた。

トークが盛り上がる坂本龍一

坂本は「結論から言っちゃうと、いい映画は音楽って必要ないんですよ。自分の職業を否定するようですが」「映像に力があるものはそんなに音楽は要らない。音楽はどうしても補完という部分が映画の中では大きいので」としつつも「(映像と音楽が)なるべく1+1=3になるようにしたい」と理想を掲げた。

映画音楽の制作秘話を披露した坂本龍一

聴講者からのQ&Aを終えて、最後に坂本は「今日言いたかったことは、(映像の中ではなく単に)音楽として存在しているのと、映画の中のコンテンツに入った音楽との役割は違うと思う。存在の仕方も違うと僕は思った。映画の中の音楽は、音楽としては仮に役不足でも十分ある種の役割を果たす場合も多々ある。そこが分かると映画を観ていても面白いのではないかと思う。僕も刺激を受けて、映画音楽でいろいろな実験をすることで自分の作る音楽が変わってくることも当然あります。音楽としての文法を壊していきたいと強く最近思っているのは映画の影響が強いかもしれない」と自身の音楽論と心境を語った。

笑顔を見せた坂本龍一

同映画祭では、5年にわたる本人への密着取材により実現した坂本龍一のドキュメンタリー『Ryuichi Sakamoto:CODA』を特別招待作品部門にて上映する。
(TechinsightJapan編集部 関原りあん)

照れくさそうな笑顔を見せる坂本龍一

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