お笑いだけでなく、映画でも監督・俳優として稀有な才能を発揮するビートたけしが、来月公開の映画に主演する。16日、都内劇場で開催された映画『女が眠る時』(ウェイン・ワン監督/2月27日公開)の完成会見および舞台挨拶に、共演の西島秀俊、忽那汐里、新井浩文とともに出席した。かつて映画で共演し、10日に亡くなったデヴィッド・ボウイに触れる場面があった。
同作は、リゾートホテルという閉塞的な場所を舞台に、謎の初老の男(ビートたけし)と美しい若い女性(忽那汐里)の異常な関係を、ほんの好奇心から覗き見したことから次第に自分を見失っていく小説家(西島秀俊)を描くセクシー・サスペンス。
たけし自身がメガホンを取らない作品で主演するのは、『血と骨』(2004年)以来、実に12年ぶり。主演を受けた理由を「西島くんが主演で(自分は)サポート役って聞いて“いいよ”って言ったんだけど。台本も西島くんが一番前に書いてあった」と当時は自身が“主演”という認識はなかったという。「観客動員数を狙った映画もありますけど、これは映画の良き時代を思わせる映画。100人いれば100人の解釈がある知的ゲーム的映画なので、ハマれば面白いなと」と同作を解説した。
たけしは、映画『戦場のメリークリスマス』(大島渚監督/1983年)で1月10日に69歳でこの世を去った英ミュージシャン兼俳優のデヴィッド・ボウイと共演しているが、この新作ではたけしによると「ウェイン・ワン監督が“戦メリ”の最後のシーンが僕はすごく好きでねぇ、と。最後に君がニヤッとしているシーンを撮りたいって」と要望したそう。たけしは「(当時より)年もとってるし、あんなに若い笑顔じゃないですよ、とは言ったんですけど」と謙遜しつつ応じたようだ。
完成会見に続けて行われた舞台挨拶では、奇しくもボウイと同じ1月生まれで同じく69歳を18日に迎えるたけしに、サプライズで誕生祝いの花束が贈られた。プレゼンターを務めた忽那から「ありがとう」と花束を受け取ったたけしは、「60を過ぎたら嬉しくもなんともないけどね。これ、菊の花?」と冗談を言い「デヴィッド・ボウイも死んじゃったし、次は俺の番かってことですけどね」とかつて共演した“戦友”を思い出していた。
たけしは「ちょっと難解な映画ですけど、楽しんでください」と劇場を埋めた観客に言葉をかけた。自身を絶賛した共演者たちに「(お礼として)現金を送りたいぐらい。すみませんねぇ」と照れくさそうな表情を見せたり、同作のキーワードを聞かれて「SMAPのトラブルです」と答えて会場を煙に巻くなど、たけしらしさ満載の舞台挨拶であった。
同作は世界三大映画祭のひとつ、ベルリン国際映画祭パノラマ部門の正式出品作品となっている。
(TechinsightJapan編集部 関原りあん)