『「遊べ、もっと。ZENT」ビートたけしアート篇 30秒』では、「ポーン」という音を合図に、衣擦れの音を「シュパッ」とさせて真剣な表情でコマネチポーズをするたけし。黒いスーツに白いシャツ姿のたけしに、頭上からスローモーションで、黄色・緑・青・ピンク・オレンジ…と色とりどりの塗料が降ってくる。その中で、たけしは瞬きひとつせず、表情も変えず、身じろぎもしない。ひたすらコマネチポーズのままだ。塗料がすべて床に落ちると、たけしは「なんだ、これ」と軽く悪態をつきながら去っていく。多量の塗料でカラフルに染まった床だが、たけしの足型に白く残された部分に「遊べ、もっと。」のメッセージが現れる。

落ちていくカラフルな塗料が、流動的に無数の形を生み出していく様子がスローモーションで映し出され、実にアーティスティックだ。その中で真剣な顔でカメラを見つめながら「コマネチ」というギャグを披露するというある種のばかばかしさが、真剣にお笑いを追求し続けるビートたけしのメッセージにも感じられる。タモリ、明石家さんまとともに、お笑いBIG3と称されるほど大物のたけしが、塗料を頭からかぶるという、まるで“若手芸人の罰ゲーム”に真面目に向き合っているのも、彼のお笑いに対する愛情を感じずにいられない。映画監督、役者としても世界で知られる多才なビートたけしが、今年1月に70歳を迎えてなお、何かに挑戦していく姿を予感させる映像だ。

（TechinsightJapan編集部　関原りあん）