マレアさんは船の近くまで来ると「サメなの? 後を付いてくるの?」とリッキーさんに聞いている。
サメはその後、ボードの下に潜りこんでおり、マレアさんは当時のことを「実は夫の反応を見て、サメがいると直感したの。でもそのサメがどのくらいの大きさなのか、どこにいるのかは全く分からなかった。ただボードから落ちないように集中していたの」と明かし、このように続けた。
「実際に何が起きていたのかを知ったのは動画を見た時で、サメが思っていたより大きく、ボードの近くにいたことを知って驚いたわ。それにあのサメの動きの速さ、泳ぎがとても滑らかなことにも気づいた。でもサメはきっと、自分の生息地に現れた私に興味があっただけだと思うの。」
サメはその後、ボードから離れて泳ぎ去り、マレアさんは10分後にはレースに戻ったそうで、クレイジーな状況下でチームが冷静に指示を出してくれたことに感謝しているという。またあのような場面に出くわしながらも、落ち着いた対応をしていた自分にも驚いているそうだ。
なおパドルボードレース「The Crossing for Cystic Fibrosis」は今年で10回目の開催で、遺伝性疾患「嚢胞性線維症(Cystic Fibrosis)」について知ってもらい、寄付を集めるチャリティイベントだという。
同イベントを立ち上げた執行役員のトラヴィス・スーツさん(Travis Suit)は、今回の件について「海はサメにとってはホームであり、私たち人間は訪問者に過ぎない。こういったことは起こり得ることで、冷静な行動を誇りに思う」と述べ、マレアさんを称賛した。
ちなみにマレアさんの後を追ってきたサメは、頭部がかなづちのように飛び出している「シュモクザメ(ハンマーヘッドシャーク)」で、オンライン版『ナショナルジオグラフィック』によると、体長4~6メートル、体重230~450キロにまで成長し、目が離れているため他のサメよりも広い視野を持つという。
米ニュースメディア『Newsweek』が昨年2月に伝えたところによると、シュモクザメによる事故は1900年以来16件報告されているが、死者はいないということで、今回のニュースには次のようなコメントが寄せられた。
「あれがシュモクザメで良かったよ。ダイバーの中にはシュモクザメに餌やりをする人もいるほどだからね。イタチザメやオオメジロザメ、ホホジロザメだったら大変なことになっていたかも。」
「そうは言ってもやはり、サメのヒレを見たら震え上がるな。」
「私だったら、あんなに冷静には振る舞えないかも。」
「こんな経験はなかなかできないよ。みんなよくやったね!」
ちなみに冷静な対応といえば思い出されるのが2020年夏、メキシコのチピンケ自然公園でハイキング中にクマに出くわした女性3人だ。クマは3人のうちの1人に執着し、至近距離で臭いを嗅ぐなどしていたが、女性たちは始終冷静に対応して無事だった。
画像は『FOX 35 Orlando 2023年6月30日付「Florida woman on paddleboard handles shark encounter like a champ in wild video」(Photo: Jason Brushaber)』『BroBible 2023年6月29日付「Paddleboarders Crossing From Bahamas To Florida Get Stalked By Massive Hammerhead Shark」(ISTOCKPHOTO / RYAN CAKE)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)