エンタがビタミン

writer : sekihara

【エンタがビタミン♪】<高橋優インタビュー>新曲は頑張る人々への応援歌 「ライブで観客も声を出せる日が必ずくる」とのメッセージも

高橋:なんででしょうね(笑)。実は侍ジャパンに関しても今回が初めてではなくて、野球がテーマになっているアニメ『メジャーセカンド』(NHK Eテレ)のエンディングテーマとして起用された『プライド』(2018年5月リリース)という楽曲があるのですが、その曲を侍ジャパンのドキュメンタリー映画のテーマソングに起用していただいたことがあります。その流れがあって今回の話があったので、1個1個の点が線になって今に繋がっているのかなと思いつつ、その点のところに野球があるというのは、不思議な巡り合わせなのかなと思っています。

■全国各地で高校野球の予選を観た貴重な体験
―楽曲で携わっていくうちに、野球の見方もこれまでとは変わってくるのではないですか?
高橋:『虹』(2017年7月リリース)という楽曲を『熱闘甲子園』(テレビ朝日系)のテーマソングに起用していただいたのですが、そのときに高校野球の予選の試合を全国各地で取材させてもらいました。実際に高校球児たちが試合をしている生の様子をたくさん観たのは貴重で、僕にとって一番ヒリヒリしていたというか、人としてぶつかっている印象を受けました。決して悪い意味ではなくてミスが目立ったり、練習でおぼつかない人がいたり、そういう人間味が溢れていた部分が一番刺激的でした。誰もがそういうところから始まってプロを目指したり、大きな目標を持ったりするんだろうなというのが、野球の域を超えて、自分の人生にも当てはめて試合を観ることができたので、あの経験は大きかったと今も思っています。

―その経験は今回の新曲にも活かされていますか?
高橋:今回の侍ジャパンも(野球選手の域を超えて)“人間”として闘っているように見えたんですね。プロ野球というと、自分の手の届く部分なんて一箇所もない、本当にすごいことをされている方々としか見えませんが、意外と僕と同世代の普通の男性だったり、緊張して試合のことは覚えていないという人がいたり…、その辺りが甲子園の予選を観させていただいたのに通じていて「この人たちも人間なんだよな」と刺激になりましたし、ヒントになりました。

■HIGH FIVE=ハイタッチしたくなった瞬間は?
―ところで“HIGH FIVE”は日本語ですとハイタッチのことですが、最近ハイタッチしたくなった瞬間はありましたか?
高橋:去年の10月から全国をツアーで回りましたが、このご時世ですとそれ自体が勇気のいる意思表示でした。(今年1月19日に)無事に全29公演終わったときに一緒に回ってくれたバンドメンバーやスタッフと顔を見合わせたときはハイタッチしたかったですね。

2月9日の日本武道館公演での高橋優

■全く緊張しなかった一人でステージに立った武道館
―ライブと言えば、2月8日と9日に日本武道館で『高橋優 10th Anniversary Special 2Days「弾き語り武道館~黒橋優と白橋優」』を終えられたばかりですね。8日の黒橋優では「ダークサイド」、9日の白橋優では「ほんわかサイド」として全く異なるセットリストでのライブでした。それぞれの日で歌い終わった心境には違いがありましたか?
高橋:(黒橋優や白橋優は)自分で意識したことはないんですよ。デビュー以来、いろんな方々に言っていただいた言葉を逆に僕が引用させてもらいました。黒橋優も白橋優も同じスタンスでステージに立っていましたが、黒橋と言われている楽曲の方がどっちかというとスカッとするというか、解き放たれている感じがしましたね。白橋の方は手を差し伸べるというか、聴いてくださる方々と同じところに肩を並べに行くような、割とコミュニケーションをするニュアンスに近かったかなという実感がありました。

メジャーデビュー10周年記念の日本武道館で2月9日に高橋優

―今回アリーナのセンターにステージを作って、360度観客に見おろされる形でたった一人でステージに立たれたわけですが、実際にやってみていかがでしたか?
高橋:半年ぐらい前に武道館をやることが決まって、プライベートも(1月に終えた)29公演のツアーも無意識に照準はこの武道館に合わせていたような気がします。やっとこの日を迎えられたというのが嬉しかったですね。この半年間ずーっと武道館を意識して食生活に気をつけたり、筋トレしたり、練習してきたものをようやく観てもらえる日が来たから、変に肩肘張るのではなく、ここでこそいつも通りの自分でいるのがいいなという気持ちになれたので全く緊張しませんでした。近所のお隣さん…(武道館の座席の)北のお隣さんに会って、西のお隣さんに会って…とグルグル回って歌っているような感じでしたね。とても気持ち良かったです。

2月8日日本武道館公演での高橋優

■この10年間ずっと考えていること
―メジャーデビュー10周年記念のライブということでしたが、改めてデビュー後の10年間はいかがでしたか?
高橋:僕がメジャーデビューしたのが2010年で、2011年に東日本大震災があって、その中でもツアーをやったり福島のフェスに出演させてもらったり、奇しくも世の中の大きな動きの中で高橋優というシンガーを奏でさせてもらっているという実感がずっとありました。世の中もようやく落ち着いてきたかなというときに2020年の10周年のタイミングでコロナ禍になって。また世の中の価値観が大きく変わった中で、武道館をやったりツアーを回らせてもらっているので、僕自身としては歌わせてもらっているだけでありがたいし、歌を聴いてくれる人がいるのは感謝なんですが、その意味はずっと変わり続けている気がします。今このご時世で歌を聴いてもらうのはどういうことなんだろう、今このご時世でライブに来てもらっているのは実はすごいことなんじゃないか、めちゃめちゃ平和な時代と今とでは武道館をやる意味というのは結構違うんじゃないか…とか、この10年間ずっと考えている自分がいますね。当たり前のようで今かなり特別な中で自分は歌っているんじゃないかなと。

2月8日に日本武道館で歌う高橋優

■今年はかなり精力的に活動予定、乞うご期待
―そんな中で今回新曲をリリースされたわけですが、今年はこれからどのような活動を予定されていますか?
高橋:自分で言うのも何ですが、今年はかなり精力的に活動しようと思っています。楽しみにしていただいて多分損はしないんじゃないかなというぐらい、いろんなことを準備して皆さんにお届けしていく予定です。そのなかでも声を大にして言いたいのは、僕の地元の(自身主催の)『秋田CARAVAN MUSIC FES』ですね。2年連続中止にせざるを得なかったのですが、直接音が響く環境の中でみんなで音楽を奏でられている状況というのがひとつのゴールだとずっと思い続けているので、今年こそは開催できたらと思っています。

2月9日日本武道館公演にて笑顔でピースサインの高橋優

4月からは文化放送の新ワイド番組『おとなりさん』で火曜日のラジオパーソナリティにも決定した高橋優。朝8時からの放送だが「早起きは大丈夫です。毎朝起きてすぐにジョギングをしていますが、ラジオが決まってからはジョギング中、文化放送を聴くようにしています」と教えてくれた。曲作りに真摯に向き合う“リアルタイム・シンガーソングライター”高橋優が生み出すのは人々の心を動かす数々の楽曲たち。それらを携えて彼が今年どのような音楽活動を繰り広げるのか楽しみにしたい。ライブで観客も声を出せる日が一日も早く来ることを願いながら。

(TechinsightJapan編集部 取材・文:関原りあん)

メジャーデビュー10周年記念の日本武道館で2月9日に高橋優

2月8日の日本武道館公演にて高橋優

2月8日の日本武道館公演にて高橋優

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