今までのオマール・シーのイメージとは異なる。知的でどこか憂いに沈んだ顔と復讐に燃える顔を持ち合わせるキャラクターで、俳優オマール・シーとしての新天地を開拓した言っても過言ではない。
そのキャリア、キャラクターなどの面でオマール・シーを想起させる日本人俳優がいる。今や日本を代表する名俳優となった大泉洋(50)だ。大泉も北海道のお茶の間のスターとして人気者となり、東京進出後は、2005年以降『救命病棟24時』、『ハケンの品格』などヒット作に立て続けに出演、その後も着実に俳優としてのキャリアを積み、2022年の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』では、「源頼朝」を演じ、主演「北条義時」役の小栗旬を凌ぐほどの存在感を見せつけたのは記憶に新しい。オマールがセザール賞主演男優賞を受賞し、フランスのテレビコメディアンからハリウッドの扉を叩いたのが33歳のとき。大泉洋が『救命病棟24時』で、全国ネットの連続ドラマ初出演を果たしたのが32歳だ。
ちなみに、大泉洋のモノマネ持ちネタの一つがマイケル・ジャクソンの『Man In The Mirror』。オマール・シーが『最強のふたり』以前にテレビでよく披露したネタは、マイケル・ジャクソンの『Thriller』である。当時の動画を見ると、歌っている言葉は分からずとも、画面の向こうであらん限りの顔芸で『Thriller』を熱唱するオマール・シーと、顔面の筋肉をフル動員して『Man In The Mirror』を歌い上げる大泉洋からは控えめに言っても同じ匂いが漂ってくる。
余談ではあるが「オマールとフレッド」は解散していないものの、2014年にアップル社のiPhone 6とiPhone 6 Plusのフランス市場プロモーションを行ったのを最後に2人での活動は休止状態である。実はフレッドことフレッド・テストは、オマール・シーよりも先に映画やテレビドラマに出演しており、こちらのキャリアとしてはオマール・シーよりも先輩だ。国際俳優としての華々しいキャリアこそないものの、現在でもフランス映画やテレビでよく見かける俳優の一人となっている。
オマール・シーは、2021年には米タイム誌の「世界で最も影響力のある100人」に選ばれている。名実ともに世界的スターの階段を駆け上る「仏版・大泉洋」ことオマール・シーが、今後またどんな新しい顔を見せてくれるのかが楽しみだ。
画像2、4~6枚目は『Netflix France 2023年9月16日付Instagram「Il n’est jamais là où on l’attend.」』『Omar Sy 2023年4月21日付Instagram「LUPIN Part 3:」、2021年9月15日付Instagram「TIME’s list of the 100 Most Influential People in the world is out,」』『FRED TESTOT 2016年12月29日付Instagram』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 リエコ)