「ノルマンディー海岸の女王」と謳われるフランス北部のリゾート地ドーヴィルで現在、第49回「ドーヴィル・アメリカ映画祭」が開催されている(9月10日まで)。毎年、夏の終わりに開催される「ドーヴィル・アメリカ映画祭」では、“アメリカ映画祭”と命名されているだけあって、フランスにいながらアメリカ映画に焦点をあてるユニークな映画祭だ。ハリウッド俳優や監督がゲストとして招待されるのが恒例だが、今年はハリウッドのストライキと時期が重なってしまった。ストライキ期間中は映画宣伝が禁止されているため、アメリカ人スター抜きでの開催となったが、そんな中、一際輝いていたのが現地フランスの俳優陣であった。
今年の映画祭審査委員長は、名実ともにフランスを代表し、ハリウッド映画にも出演経験がある俳優兼監督のギヨーム・カネが抜擢された。
ところで、今年50歳になるフランス中年男優の代表ギヨーム・カネをご存じだろうか?
1994年から俳優としての活動を始めたギヨームは、27歳の時にレオナルド・ディカプリオ主演の映画『ザ・ビーチ(原題:The Beach)』(2000年公開)に出演し、国際派俳優としての道を歩み始めた。彼の俳優としての地位を不動なものとした作品は、2003年公開の映画『世界でいちばん不運で幸せな私(原題:Jeux d’enfants)』で、フランスでは140万人を動員する大ヒット映画となった。日本でも2004年に公開されている。この作品で共演したのが、マリオン・コティヤールだ。ギヨームとマリオンは2007年から交際をスタートし、2011年には長男が、2017年には長女が誕生。フランスらしく、婚姻関係にはない事実婚カップルである。マリオンは1998年からスタートした映画『Taxi』シリーズに出演しているため、交際当時でも知名度はあった。
フランスでは、甘いマスクの爽やか青年として人気を博し、2002年公開の映画『僕のアイドル(原題:Mon Idole)』で長編監督デビューを果たすなど、俳優業以外でも成功していたギヨーム。マリオンも着実にキャリアを積んでいたものの、2006年までは「ギヨーム・カネの内縁の妻」というステータスであった。ところが2007年から立場は逆転。映画『エディット・ピアフ~愛の讃歌~(原題:La Môme, 英題:La Vie En Rose)』でマリオンは、アカデミー賞、セザール賞、ゴールデングローブ賞などの主演女優賞を総なめにした。結果、