約5000ポンド(約91万円)を支払い、他の航空会社を利用して行先をトルコに変えた。こちらのチェックインではパスポートの破れを指摘されることはなく、親子3人でトルコへ向かったそうだ。
「パスポートの裂け目は、小さすぎてほとんど見えませんでしたよ。ミリ単位のものでしたし、これを見た多くの人が問題ないと言っていました。なぜ受け入れられなかったのか分かりません」とスザンヌさんは納得がいかない様子で当時を振り返った。
トルコでの滞在を楽しんでいる様子のスザンヌさんたちだったが、現在はキャンセルとなってしまったタイへの航空券などの費用を、旅行保険でカバーしてもらおうと連絡を取っているという。
イギリス政府のウェブサイトでは、パスポート損傷の詳細について「個人情報や特記事項ページが読み取れない場合」「ラミネートが剥がれている場合」「表紙や裏表紙、または個人情報ページが切り取られている場合」「水や化学物質、インク、破れ、裂け目、噛み痕などによる損傷がある場合」など多くの項目が挙げられているが、定義として“損傷により身分証明書として使用できない状態のもの”とされている。
この定義からすると、今回のベサニーさんのパスポートには小さな裂け目があったものの、個人を特定する写真や名前の確認はできたように思える。別の航空会社では同じパスポートで国際線に搭乗できているので、大きな不備はなかったはずだ。
ベサニーさんのパスポートを受け入れなかったカタール航空は、「当社はすべての人が問題なく目的地に入国して旅行を楽しめるよう、世界各国の政府の関連ガイダンスに従っています。ラミネートの剥がれやページの欠落、破れ、特に個人情報が記載されたページにこのような損傷がある場合、パスポートは無効であるとみなされる可能性があります。渡航前に必要書類などがきちんと揃っているか、確認することをお勧めします」とコメントを公表している。
また同航空会社は「ご迷惑をお掛けしたことを非常に申し訳なく思います」と詫びつつも、「渡航前に正しい書類を用意するのは旅行者の責任です」とも述べており、今回の件でいかなる責任も負わず、払い戻しなどもしないとしている。
今回は厳しいチェックとなったが、2019年には英ケント州のドーバー港にて、58歳の女性が娘のパスポートでセキュリティチェックを難なく通過し、出入国管理の甘さに疑問の声が相次いでいた。
画像は『Manchester Evening News 2023年8月8日付「Devastated family’s £7,000 Thailand holiday ruined by tiny passport flaw」(Image: Suzanne Senior)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 iruy)