エンタがビタミン

writer : sekihara

【エンタがビタミン♪】<THE ALFEEライブレポ>「3年分の熱い声援を!」 結成50周年に声出し解禁、ファン歓喜

前日に同ホールで行われたコンサートにはグランマ(主演の萬田久子さん)が来場していたとのこと。ケルティックサウンドを取り入れたイントロが流れ、3人のバックに6つのトーチが半円を描くように灯ると、中世ヨーロッパの雰囲気を醸し出し、一瞬にして物語の世界に誘う。桜井賢が艷やかで伸びのある力強い歌声を聴かせる。先日インタビューしたときに「ありがたいことに新曲をコンサートで聴くのを楽しみにしているファンが多い」という話を聞いた。同曲もきっとその一曲だろう。

ベースを担当する桜井賢は、艷やかで伸びのある力強い歌声を聴かせる。シングル曲も数多くメインボーカルを取ってきた

アンコールでは、公式グッズのマラカスライトがコンサートを一層盛り上げる。昨年のツアーで使用された「ミカエルの剣(つるぎ)」のブルーと、このツアーから登場した「アクエリアスの涙」のパープルの光が曲に合わせて揺れ、客席を幻想的に美しく彩る。声出しNGのコロナ禍に生まれたグッズではあったが、声出しOKになった今、ファンが参加できるツールが増えた形となった。

ファンのアンコールに応えて再登場した3人は、アメリカのバンド「Three Dog Night」が歌った『It’s For You』(1968年)をカバーして唯一無二のコーラスを聴かせると、『挽歌』(1981年)へ。さらに結成50年のTHE ALFEEを祝うために駆けつけたというアイドルグループ「またさきトリオ」(3人の名前をあわせたグループ名を付けた3人が扮した架空のグループ)が登場して、コントを繰り広げる。コロナ禍で声が出せなかった頃はインタビューで笑い声が聞こえないのは寂しいと言っていた3人。そんな客席から今夜はどっと笑い声が起こる。『危険なリンゴ』(1974年。デビュー曲『夏しぐれ』のカップリングナンバー)をアイドルスタイルで披露するのも彼らのサービス精神からだろう。

そして代表曲『星空のディスタンス』(1984年)ではエンジェルギターを赤や青に光らせて、サビのアカペラから入るアレンジで聴かせ、『SWEAT&TEARS』(1986年)では無数のテープが勢い良く華々しく客席に放たれ、客席は最高潮に。そして『恋人になりたい』(1980年)では、この曲ならではの待ちに待ったお約束のコール。まさに声が出せる喜びが溢れているかのようだ。

そしてこのツアーで最後を飾った曲は『SEE YOU AGAIN』(1982年)。印象的なアコースティックギターのフレーズから始まる同曲は、近年では夏のイベントなどアリーナ会場で演奏されることが多かったナンバーだ。サビの「See You Again」をファンが何度も歌い、メンバーが「もっとみんなの声を聞きたい」というように耳に手を当てると、客席の歌声が一層大きくなる。先日のインタビューで、久しぶりの声援に感動し「鳥肌が立った」と話していた高見沢。このときもきっとファンの歌声を噛み締めていたに違いない。

ほとんどの楽曲を制作してきた高見沢俊彦。ギタリストとしてはエンジェルギターなどオリジナリティ溢れるギターを弾くことでも知られている

ツアータイトルは『風の時代』だったが、これには「物体ではなく目には見えないものの価値が尊重される時代(風の時代)がくる」というテーマがある。まさにコンサートは目には見えないが、心で感じたり、心に残ったりするもの。声出しが解禁になり、コロナ禍以前のコンサートを取り戻した今回のツアーにまさにぴったりの楽曲ではないか。

そんなTHE ALFEEの恒例の夏のイベント(コンサート)が7月29・30日に神奈川・横浜アリーナで開催される。ほぼ通常のコンサートを取り戻した今、高見沢の「必ず夏のイベントで会いましょう!」のメッセージがラストの『SEE YOU AGAIN』に込められているようだ。
(TechinsightJapan編集部 取材・文:関原りあん)

THE ALFEEのコンサートを象徴するような、コンサートで盛り上がる楽曲『SWEAT&TEARS』(1986年)では無数のテープが勢い良く華々しく客席に放たれ、客席は最高潮に

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