「その後はもう気が気でなかった。やっとのことで妻に連絡すると、彼女は泣き始め、『期待を持ち過ぎないように』と諭したほどだった」と当時のことを語っている。
そんな夫妻の思いを知っていたかのように、女児は新生児集中治療室で健康チェックなどのために2日過ごすと、1月4日には夫妻のもとにやってきた。そしてゾーイ(Zoey)と名付けられ、今年4月には夫妻との養子縁組が正式に成立したのだった。
病院の医師は当時、「ゾーイちゃんのへその緒は靴紐で結ばれていた。おそらく誕生後、12時間も経っていなかっただろう」と話したそうで、男性はゾーイちゃんとの運命の出会いについて「神様の助けがあったから」と信じているという。
男性は「ゾーイの話になると、どうも涙腺が緩んでしまってね」と笑い、実母に対してこんなメッセージを残した。
「実母には、私たちがしっかりとケアをしていること、そして言葉では表現しきれないほどゾーイを愛していることを知って欲しいと思っている。また私たち夫婦がゾーイの話をこうして伝えることで、実母の気持ちの整理がつくことを願っているよ。」
なお2016年からベビーボックスの設置を行っている団体「Safe Haven Baby Boxes」のウェブページによると、ベビーボックスは現在、全米153か所に設置されており、これまでに託された赤ちゃんは32人という。フロリダ州にはオカラの消防署にあるだけで、ゲインズビルに2つ目の設置を予定しているそうだ。
このニュースには「なんて美しい話!」といった感動の声のほか、次のようなコメントが寄せられた。
「本当に可愛い子! 愛されているのが良く分かるわ!」
「奇跡的だけど、同時に心が苦しくもある。」
「最善な方法を考えて我が子を手放した両親と、この子を全力で愛している夫婦に感謝。ベビーボックスはもっと設置されるべき。」
「150か所以上も設置されていて、32人の利用というのは少ないと思う。赤ちゃんを捨ててしまう親がまだまだいるということだ。」
「このベビーボックスを設置し始めた女性は素晴らしいと思う。」
ちなみに「Safe Haven Baby Boxes」の創設者であるモニカ・ケルシーさん(Monica Kelsey)はベビーボックスがなかった時代、望まない妊娠をした実母に病院に置き去りにされたそうだ。彼女はフロリダ州で初めてベビーボックスが利用され、赤ちゃんの安全が確保されたことを心から喜んでいるようだった。
画像は『WKMG News 6 ClickOrlando 2023年6月20日公開 YouTube「Ocala family brought together by chance after baby found in Safe Haven box」』のサムネイル、『TODAY 2023年6月22日付「Newborn baby left in Safe Haven Baby Box was adopted by the firefighter who found her」(Courtesy Zoey’s family)』『The Florida Standard 2023年1月6日付「Florida Newborn Surrendered in Baby Box at Ocala Fire Department」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)