現在はポーランドのワルシャワに住む友人の家に身を寄せている。足が悪い母は「怖い。私は長時間の移動はできない」とキエフの地下シェルターに留まったそうだ。そしてキエフからの避難の様子をこう述べた。
「移動の車には息子が乗っていたので、全ての窓にロシア語で『子供が乗っている』と書きました。ただ夫は国境を越えることができず、ウクライナ西部の都市ウジホロドで別れました。」
「そこから息子と私は、電車でチェコ共和国に行きました。同国からウクライナに薬や食料などを運ぶ電車があって、復路は女性や子供を乗せてくれるのです。私はその電車でポーランドの国境に近いオストラバまで行き、そこからはポーランドに12年間住む私の友人が全てを取り仕切ってくれました。残念ながら私の脳はこのところほとんど正常に働いていませんからね。」
「現在お世話になっている人たちとは全く面識がありませんでしたが、彼らはとても素晴らしく本当に良くしてもらっています。」
なおオレナさんは、キエフに留まった母親と1時間毎にメールで連絡を取っているそうで「今のところ母は大丈夫ですが、夜中に3~4回はサイレンが鳴るようです」と述べ、夫については「昨夜話をしたばかり。彼はウクライナ西部に留まり避難してくる人や軍のサポート活動をしています」と明かした。
こうして時折声を詰まらせながら気丈に話を続けたオレナさん。今後のことを聞かれると「これからどうなるのかは全くわかりません」と述べ、このように続けた。
「ウクライナのみんなに必要なのは、私たちや子供たちと話をしてくれる精神科医です。ウクライナ人はとても強い国で、きっとこの困難を乗り越えるでしょう…。でも私たちは話をすることが必要なのです。これはとても大切なことで、プロの専門家が私たちウクライナ人に寄り添い、手を差し伸べてくれることを期待しています…。私たちウクライナの女性はなんとかやっていくでしょう。でも全てのことを胸のうちに留めておくことは健康的ではないのです。」
ちなみにオレナさんのインタビューは3月初めに録画されたものだが、動画には「女性の強さに心打たれた」「なんてパワフルなインタビューなのだろう」「心が痛む」「涙が止まらない」「なぜロシアはこんなことをしたのか? これは戦争犯罪だ」「どうか強さを持ち続けて欲しい」といった声があがり、多くの人が「ウクライナに早く平和が訪れるよう祈っています」と綴っていた。
画像は『BBC Woman’s Hour 2022年3月5日付Instagram「‘I think we got the last chance to leave the city.’」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)