南アフリカのケープタウンに暮らすアシュリアさんとポールさん夫妻は、娘のステラちゃんが「ママ」「パパ」と呼んでくれる日を6年間待ち続けた。残念ながら最初の言葉は違っていたが、声とともに娘のことをどんどん知ることができる喜びに感謝しているという。『News24』などが伝えている。
ステラ・マイソンちゃんが生まれた時、その分娩室は静まり返っていた。医師は「へその緒が首に巻き付いていたからだ」と推測し、両親もすぐに産声をあげるものと思っていた。しかし誕生から数か月たってもステラちゃんは泣き声すらあげなかった。
生後3か月に行われた検査の結果、ステラちゃんは声門下狭窄を伴う先天性喉頭横隔膜症と診断された。声門下狭窄は喉にある輪状軟骨の形成異常で、先天性咽頭横隔膜症は喉の横隔膜に組織が層状に形成されてしまう症状である。この層状の膜は妊娠初期の段階で形成され成長とともに消えていくが、ステラちゃんの場合は消えなかった。医師はすぐに手術でその膜を取り除いたが、さらに悪い発見があった。人間の気道の中で最も太い気管が、ステラちゃんのそれは直径1ミリ以下しかなかったのだ。すぐに気管を広げる手術を行う必要があったが、医師に「ステラちゃんがもう少し成長するまで待たなければならない」と告げられてしまった。
そして手話で会話をしながら6年が経ち、ようやく手術を行う日がやってきた。ステラちゃんは思いをすべてうまく伝えることができなかったので自分の世界に閉じこもることもあったが、声が出せるようになれば娘が考えていることももっとわかるようになるはず―と両親は期待に胸を膨らませていた。
2020年3月、南アフリカはロックダウンの状況下にあったが、