英バーミンガム市内にある高級ホテル2軒を、昨年6月から12月までの半年間にわたり“自宅”と化していたのはデイヴィッド・ジョンストーン被告(47歳)だ。彼は自分をスイス銀行に勤めるヘッジファンドマネージャー(代替投資の運用責任者)と偽り、HSBC銀行の解約されたクレジットカードを使って宿泊代金を支払う振りをするという詐欺行為を働いていた。
ジョンストーン被告は高級ホテル「Park Regis(パークレジス)」で、スティーヴン・スピルバーグ監督も泊ったとされるプレジデントスイートルームに宿泊し、飲食はもちろんのことホテル内のジムやスパなどの施設を利用し、1日700ポンド(約10万円)の贅沢を重ねていたという。また同被告は「The AC Hotel(ACホテル)」という別の高級ホテルにも料金を支払わずに宿泊しており、2つのホテルの総被害額は124,000ポンド(約1,750万円)にも上るという。
高級ホテルのスタッフはカスタマーサービスにも配慮が行き届いていたのであろう。ジョンストーン被告はそんなスタッフらにカード払いで気前よくチップを切っていたという。ホテルでは「プラチナカードを持つ客」として認識されているほど被告の振る舞いはもっともらしく、無効になっているクレジットカードで宿泊の予約手続きを前もって行った際にも、言葉巧みにホテル側を説得しスタッフたちの信頼を得ていたそうだ。
このように2軒のホテルでスタッフを騙し続けていたジョンストーン被告だったが、12月15日にカード会社の「Barclaycard(バークレイカード)」がホテル側に警告したことがきっかけとなり詐欺行為がバレることとなった。
警察が調べたところ、昨年7月に解約となっていたHSBCのクレジットカードには90,000ポンド(約1,300万円)もの借金があることがわかった。調べに対してジョンストーン被告は「なぜ、カードが解約されたのか全くわからない」と答えたという。
バーミンガム治安裁判所のパトリック・サリバン検察官は「ホテル側に出た損失は大きく、それだけの金額を補うことは困難とされる。まして従業員たちにも大きな影響が出ているに違いない」と話している。
同被告の弁護人ジョセフ・キーティング氏は「被告人はバーミンガム市内に住む病気の父親に会いに来たが、ホテル住まいに落ち着いてしまったようだ」と弁護した。しかしサイフレット勅選弁護士は「自分が悪事を働いていることを十分承知しておきながら巧みに従業員に取り入り、ホテル側に詐欺行為をしたことは不誠実この上ない」と述べている。
ジョンストーン被告は、アメリカでもヘッジファンドに関連した詐欺行為をしたことで176,000ドル(約2,000万円)の被害を出していることが明らかになっており、今回の裁判では3年と9か月の実刑判決が科せられている。
出典:http://metro.co.uk
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)