スコットランドのグラスゴーに暮らすソフィア・スコットちゃん(5歳)は、現在、スコットランドで最も若いアルツハイマー病を患う子供と言われている。
保育園で他の子供よりもソフィアちゃんの言葉の発達が遅いことに園内スタッフが気付いたのは、ソフィアちゃんが2歳の時だったそうだ。「ひょっとして言語障害があるのでは」とスタッフは両親にセラピーを受けるように勧めた。検査の結果、ソフィアちゃんは滲出性中耳炎を患っていることが分かった。滲出性中耳炎は小児の行動や言語、発達に影響する可能性があるとされる病気である。
しかしこれだけに留まらず、さらなる残酷な現実がソフィアちゃんと両親を襲った。ソフィアちゃんが4歳になる1日前に彼女が「ムコ多糖症(MPS)」という先天性代謝異常により起こる特定疾患を持っていることが医師から告げられたのだ。
具体的には、ソフィアちゃんは「ムコ多糖症(MPS)」の病型の一つとしても知られる「サンフィリッポ症候群」という精神発達が遅れてしまう病気を患っていた。治療法がなく、病状が進行するに従って記憶が失われて歩行不能になり、末期には介護を必要とする状態となってしまう。
聞き慣れない病名を聞かされた父ダレンさん(38歳)と母アマンダさん(40歳)は、「これまでとても元気で活発に過ごしてきて、何の症状も大きな問題もなかったのに」と激しいショックを受け、我が子が小児性認知症であることを受け入れるのにかなりの時間を要したという。
「どのように対応していいかもわからず、2年間は互いにこの病気について話すことすらできませんでした。でも、今はようやく事実を受け入れ一瞬一瞬を大切に生きよう、そしてできるだけ多くの思い出を娘と一緒に残して行こうという気持ちになりました」とアマンダさんは語っている。
レストランを経営しているダレンさんは、愛する娘にこの診断が下されてからは寝る間も惜しんで病気のことを調べるようになった。昨年4月にはヨーロッパをはじめアメリカやオーストラリアにまで飛び、手遅れになる前になんとか治療法を見つけられないかと専門家に会いに行ったそうだ。
「最近、遺伝子治療に関して飛躍的な進歩があったようなのです。まだ初期の段階だそうですが、治験を重ねて特許を取るまでに何年もかかるかも知れません。しかし、私たちはその治療法がソフィアを救うことになると信じているのです。いえ、信じたいのです」とダレンさんは話す。
アマンダさんによると、ソフィアちゃんは言葉を話すことに関して他の子たちより少し遅れており、何かをする時も数分しか集中出来ないという。「でも、普通の学校に通っていてなんとかクラスについていってます。スクーターもダンスも人形遊びも大好きなんですよ」と両親は述べているが、元気なソフィアちゃんの姿に反して我が子が日々進行している不治の病に侵されていると受け止めなければならないことほど辛いことはないだろう。
しかしながら日は一日一日と過ぎ、いつまでソフィアちゃんが生きられるのかは分からない。この疾患の寿命は概ね20代と言われているが、患者によりその差異があるそうだ。よって10代を過ごせるかどうか分からないソフィアちゃんのためにダレンさんはできるだけ仕事の時間を減らし、ソフィアちゃんの祖父母もスペインからスコットランドへ移り住み、家族で良き思い出作りに励んでいるという。
「昨年はラップランドに行ってサンタに会ってきました。今年はイタリアにスキーに行ってユーロディズニーへも行く予定です。希望はまだ捨てません。でも娘の人生が短いなら、できるだけ多くのことを経験させてあげたい」と悲しみを隠しながらも希望を持ち続けるダレンさんとアマンダさんだ。
現在、彼らは「Hundreds of Promises」というチャリティーを設置しており、寄付金は40,000ポンド(約550万円)以上に上るという。この寄付金はソフィアちゃんの病状をリサーチするための費用として、また今後ソフィアちゃんが生活する上で特別な補装具が必要となった場合にその資金に充てられるそうだ。
出典:http://metro.co.uk
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)