規則正しい食生活を心がけ、深夜に何かを食べるような癖はやめた方がよい。これは何も胃腸や心身の調子を整えるためだけではなかったようだ。そういう癖がある人に、のちにアルツハイマー型認知症を発症する危険性があることを米大学の研究チームが突き止めたという。
分子遺伝学が専門で、ヒトの睡眠や生活リズムと健康の関係を研究しているカリフォルニア大学ロサンゼルス校のDawn Hsiao-Wei Loh教授率いるチーム。深夜の食事が認知機能におよぼす影響について、彼らが先月10日に発表した論文が専門家向け医学系サイトの『eLife』に紹介され、話題を呼んでいる。
論文のタイトルは“Misaligned feeding impairs memories(不規則な食生活により記憶力が損なわれる)”。それによれば深夜まで起きて何かしらを食べるような生活を続けていると、認知および記憶の能力において重要となる大脳辺縁系の「海馬」に悪い影響が出てくるとのこと。深夜に食事を与えられたマウスたちは、記憶力のために重要となるCREB(cAMP応答配列結合タンパク)の活動が抑制されるようになり、オブジェクトを探し当てるなど短期および長期記憶力に関する実験では、そうでないマウスたちに比べていずれも劣っていることがわかったという。
これが人間であればひいてはアルツハイマー型認知症の発症につながるであろうとし、共同研究者のChristopher Colwell教授は夜型の生活を送る人々に警鐘を鳴らす。「現代は、自分の好きな時間帯に起きて活動する人や夜更かしを好む人も多いと思いますが、食事の時間帯が海馬に影響を与えていることが分かった以上、そういう人たちは今一度自分の生活リズムを見直す必要がありそうです」とまとめている。
もちろん記憶力の問題ばかりではない。夜に十分な睡眠がとれていない、つまり眠りにつけない、すぐに目が覚めるなどは「睡眠障害」と呼ばれ、日中に強い眠気に襲われてうたた寝してしまうようでは医療機関の診察を受けるべき状態である。事実、昨年あたりから「睡眠不足もアルツハイマー型認知症発症の一因」と言われるようになってきた。また寝る直前の食事はエネルギーが消化に費やされるため、体は睡眠モードから遠ざかってしまう。少なくとも入眠の3時間前からは何も食べないという心がけが必要になるという。
出典:http://www.womensforum.com
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)