英スコットランドのレンフルーシャー・ペイズリーに住むエドウィーナさん(52)は、夫ジェイミーさん(55)との間に授かった最愛の一人娘、ジェニファー・グレイさんを21歳の若さで亡くした。
4月初旬、ジェニファーさんは喉の痛み、鼻水、咳などの症状を訴えていたが、学校には通っていた。4月15日夜、友人たちと飲みに出かけたジェニファーさんだが、不調を訴えていつもより早めに帰宅した。
翌日、頭痛と関節の痛みや嘔吐に襲われたために「二日酔い」だと思ったジェニファーさんだったが、急速に容態が悪化してしまう。
家族は緊急コールセンターに問い合わせ、ペイズリーにあるロイヤル・アレクサンドラ病院へ向かうよう指示された。この時ジェニファーさんには、頭痛や嘔吐、関節の痛みの他に首の痛み、そして高熱があった。しかし、髄膜炎の兆候の一つである紫色の湿疹は見られなかったという。
到着時、すでに意識障害が見られたジェニファーさんは、すぐに集中治療室で頭のCT検査が行われた。その結果、脳は既に細菌感染のために肥大し静脈内には血栓が形成されていることが判明、ジェニファーさんは細菌性髄膜炎のため死亡状態であると宣告された。
その後、ジェニファーさんはグラスゴーのクイーンエリザベス大学病院の脳神経外科に搬送され蘇生治療が施されたが時すでに遅く、午後7時30分に死亡が確認された。
不調を訴えてからわずか3日後、ジェニファーさんは帰らぬ人となってしまった。彼女の両親は突然訪れた最愛の娘の死に、ショックと悲しみを隠せない。そんななか両親を驚かせたのは、ジェニファーさんがドナー登録をしていたということだった。娘の死はなにものにも代えられない悲しみであるには違いないが、ジェニファーさんの臓器は5歳の子供を含む5人の尊い命を救った。
エドウィーナさんとジェイミーさんはジェニファーさんの死後、今後の髄膜炎の研究のためにと基金サイトを設置。ジェニファーさんの友人たちも参加し、改めて髄膜炎の恐ろしさについての注意喚起を促していると同時に、自分たちのように悲劇が生まれないことを願って活動を続けているという。
「1日前まで元気だったのに、次の瞬間、娘はもう帰らぬ人となってしまいました。私たちはもう娘の花嫁姿を見ることも、孫の顔を見ることもできなくなってしまったのです」と語るエドウィ―ナさん。たった一人の子供を失った親の悲しみは計り知れない。
風邪によく似た症状の髄膜炎に陥ると、通常1週間以内に命を落とすリスクがあると言われる。ジェニファーさんの場合は急速に悪化したため3日で亡くなってしまったが、いずれにしても頭痛や嘔吐が起きた場合は、自分で判断せずに早急に受診をすることが大切であろう。
出典:http://www.dailyrecord.co.uk
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)