ピザ、ハンバーガーと並んでアメリカ人が大好きなホットドッグ。そのソーセージにおいて大きなシェアを誇っていた食品加工メーカーが今、莫大な量の商品の回収に追われている。原因はやはり「リステリア」。近年それは恐れられている菌の汚染が判明したという。
リステリア菌を理由にリコールを命じられ、自社ブランドの自慢の商品を大量に回収しなければならなくなったのは、“BAR S”のロゴで知られる「BAR-S Foods」社(本社:オクラホマ州アルタス)。「米国農務省食品安全検査局(Food Safety and Inspection Service 以下FSIS)」は19日、対象の商品を“7月10~13日に同社の工場で製造された鶏肉、豚肉などを使用したホットドッグやアメリカンドッグ用のソーセージ、トウモロコシを原料とするドッグフード”と特定。回収すべき商品の全重量は約372,684ポンド(=169トン)とした。
すでに店頭に並んでいるものもあるとみられるが、消費者からの被害報告などはBAR-S Foods社にまだ寄せられていないもよう。それでも同社は地域を管轄するFSISダラス事務所(テキサス州)に対し、「予防措置としてすべての商品の回収に全力を注ぐ」と報告した。
リステリア菌の汚染があった食品を高齢者、免疫の低下している人、妊娠中の女性や乳幼児が摂取すると「リステリア症」を発症することがある。米国では食中毒死の半分近くがリステリア菌感染を原因としており、抗生物質の投与を怠ったりして毎年数百名の死者が出ている。発症までの潜伏期間は数時間~3週間。悪寒、発熱、頭痛、筋肉痛、胃腸炎といった症状はインフルエンザと誤診されることがあり、そのうちに髄膜炎や敗血症を発症した場合は痙攣や錯乱を引き起こし、致死率は20~30%にもなるほか、妊婦では流産、死産、早産、また新生児感染症が起きることもあるという。
リステリア菌の汚染については乳製品、野菜、果物、加熱不足の食肉や魚介類など、幅広い食品において報告例があり、少し前にはカンザス州で「Blue Bell」ブランドのアイスクリームを食べた5名がリステリア症を発症して3名が死亡。この菌は冷蔵庫や冷凍庫でも増殖するなど4℃以下の低温にも強いことがわかっている一方、しっかりと加熱することで死滅させることが可能である。このたび回収の対象となった商品の詳細については、FSIS公式HPの以下のURLにてご参照いただきたい。
http://www.fsis.usda.gov/wps/portal/fsis/topics/recalls-and-public-health-alerts/recall-case-archive/archive/2016/recall-061-2016-release
出典:http://www.foodsafetynews.com
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)