アウトドアスポーツが大好きなケルシー・マクレインさんは昨年8月、米コロラド川沿岸のリゾート地であるフィッシャーズ・ランディングで24歳の誕生日を迎えた。彼女は水上スキーや釣りなどのウォーターアクティビティを存分に楽しんだ後、カリフォルニアの自宅に戻ったが…。『abc15.com』が伝えている。
自宅に戻って数日後、ケルシーさんはひどい頭痛に襲われた。医師に薬を処方してもらうが全く効かず、次の日の朝を迎えたころには頭を動かすことも話すこともできなくなった。医師は細菌性髄膜炎を疑い、様々な抗生物質を試してみたものの、ケルシーさんの症状は悪化。ついには強いけいれんを伴う発作を起こし、旅行から帰宅して8日後に脳死と判定された。
ケルシーさんの脳脊髄液はカリフォルニア大学サンディエゴ校の研究機関に送られたが、その結果「フォーラーネグレリア」と呼ばれる”殺人アメーバ”に感染していることがわかった。このアメーバは川や温泉、池などの比較的温かい淡水を好んで生息し、人の鼻から侵入すると脳に寄生。脳細胞を急速に破壊しドロドロに軟化させ、発症すると約1週間で死に至るという。致死率は非常に高く、アメリカでの感染は1962年から2015年8月までに134例報告されて
いるが、うち生存者はわずか3名。日本でも1996年11月に佐賀県で初の感染が確認されており、25歳の女性が亡くなっている。
フィッシャーズ・ランディングの経営者のひとり、シャーリー・ブッシュさんは「ケルシーさんが亡くなるまで、そんな病名は聞いたこともありませんでした。今では水に顔をつけないように警告するサインを貼り出していますよ」と語る。アメリカ疾病予防管理センターは「フォーラーネグレリア」への感染を防ぐには鼻クリップをつけることが効果的であるとしており、ブッシュさんは観光シーズンを前に店に商品として置くことを検討中だ。
ケルシーさんの母親ジェニファーさんは「ケルシーは臓器提供を希望していましたが、結局叶いませんでした。稀な病気とはいえ、コロラド川だけでなくどこでも起こり得ることです」と述べ、この病気についての周知・予防が徹底されることを強く訴えている。
出典:http://www.abc15.com
(TechinsightJapan編集部 A.C.)