ヘラー症候群とは、2歳から5歳の間に現れる知的・社会・言語機能の崩壊のことで、正常に発達してきた能力が半年ほどで退行し、その後は自閉症とよく似た症状を示すようになるという。排泄機能の後退や周囲への無関心などが現れ、発達障害も重く生涯介助が必要になるところを考えても「幼児性認知症」と言われる所以である。
ケイド君は生後4か月で痙攣発作を起こし、脳内が酸欠状態となった。これは深刻な発達障害を引き起こすことに繋がってしまう。「普通に生まれて、それまでは何ともなかった」と話す母のミッシェルさん(26歳)は「たった一晩で、4か月のケイドが新生児に戻ってしまった」と英紙『Daily Mail』に語っている。
ケイド君は現在、話すことも歩くことも、そして食べることもできない。この不治の病と呼ばれるヘラー症候群は、発作が起きても薬が効かない。
ケイド君の他に2人の子供を育てているミッシェルさんは、「それでもケイドは人生を楽しもうとしています。水族館に行くのがとても好きなんです。好き嫌いもはっきりしています」と話す。
騒々しい音の場所が苦手なケイド君には、ソフトな音楽が流れる水族館が一番落ち着くようだ。「The Sea Life Centre」へ連れて行くと、ケイド君が発作に襲われることはないという。
ケイド君は脳に相当のダメージを受けているにもかかわらず、この病気の原因は明らかになっていない。医師らは非常に稀な遺伝子疾患によるものとみているが、ケイド君は英国で2012年より始まった「10万ゲノム解析プロジェクト」にも参加している。しかしヘラー症候群の発症率は10万人に1人とも言われ、これといった治療薬もないためケイド君がどう成長していくのか、寿命はあとどのぐらいかなど何もわからない状態だそうだ。
手探りの状態での子育てにおける苦悩や葛藤、そして生涯にわたって介護をしなければならない家族の心身の疲弊は想像を絶するものがある。それでもミッシェルさんはケイド君の母として、日々闘い続けている。
出典:http://www.dailymail.co.uk
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)