チャールズ国王が1975年から連隊大佐を務める、イギリス近衛連隊ウェルシュガーズの軍服を着た姿だ。国王は両手で剣を支えており、肩には蝶が近づく様子が描かれている。絵画全体は、ウェルシュガーズの軍服の色である赤で覆われている。
ジョナサン氏はこの配色について、自身の公式ウェブサイトで「ユニフォームの真っ赤な上衣と重なり、多くの歴史的肖像画に見られるように王家の伝統と共鳴するだけでなく、力強い色合いで伝統的な描写に現代的なコントラストを与えている」と説明した。
さらに国王の肩の上で舞う蝶は、イングランド王ウィリアム3世にちなんで名付けられた「The Monarch butterfly(オオカバマダラ)」という種類だ。越冬のために長距離を移動することから、気候変動による影響を最も受けている蝶でもある。
ジョナサン氏は蝶を加えたことについて、「自然の美しさと不安定さの象徴であり、国王がその生涯の大半を費やして提唱してきた、環境保護活動を浮き彫りにするもの」と述べ、こう続けた。
「(蝶は)構図的な目的も兼ねており、軍服と剣の軍事的な鋼鉄さとの視覚的なコントラストを提供している。美術史において、蝶はしばしば変態と再生の象徴である。この肖像画が制作された時期である、皇太子から君主への変遷とも類似している。」
バッキンガム宮殿の公式SNSが新たな肖像画を披露すると、王室ファンは「伝統的な肖像画とは一線を画す、美しい絵画だ」「驚いた! 素晴らしい」「とても才能あるアーティストだ。ゴッド・セイブ・ザ・キング!」と称賛した。
しかし一方で、赤で覆われた肖像画に困惑した人も多かったようで、このようなコメントも見受けられた。
「良く分からないけど…なんだか怖い気がする。」
「申し訳ないが、国王が地獄にいるように見えるよ。」
「無礼な意味はないけど、これまで見た中で最悪の王室の肖像画だわ。」
「顔は素晴らしいけど、その他は血の海のように見える。」
画像は『The Royal Family Instagram「The King is pictured in the Centre Room at Buckingham Palace during the filming of this year’s Christmas Broadcast.」「It was a privilege and pleasure to have been commissioned by The Drapers’ Company to paint this portrait of His Majesty The King,」』より
(TechinsightJapan編集部 寺前郁美)