臓器移植について話をもちかけられると「命の贈り物ができれば」と苦渋の決断を下した。そしてショーンさんも、娘の腎臓を受け取ることに決めたのだった。
ショーンさんは娘から腎臓をもらうことは全く頭になかったそうだが、ディーマさんに「あなたの中にはいつも、あの子の一部が存在していることになるのよ」と言われ、一歩を踏み出す勇気が持てたという。
こうしてジョー・ディマジオ小児病院ではドナーに敬意を示す「見送りの儀式(オーナー・ウォーク、Honor Walk)」が行われ、家族は手術室の前でシマリアさんに最期の別れを告げた。シマリアさんが亡くなったのは2月3日のことで、6つの臓器が5人に提供された。
ショーンさんは娘の死後、24時間以内に腎臓を移植されたそうで、経過は順調だという。それでも「今も複雑な心境であることには変わりない」と明かし、次のように述べた。
「よく『腎臓が見つかってよかったね。おめでとう』と言われるんだけどね。彼らは代償の大きさを理解していないと思う。娘から腎臓の提供を受けたことに関しては、罪悪感だけでなく『自分が幸せになってはいけないのではないか…』と感じることがあるからね。」
「でも娘は私のヒーロー。今は『娘の一部が私の中で生きている』ということだけを考えて生きている。そう思うことで幸せな気持ちになるからね。」
なお移植手術を行ったリンダ・チェン医師(Dr. Linda Chen)は、「私はこれまでに2000もの臓器移植手術を手がけてきましたが、父が我が子から腎臓を贈られるというこのケースには、感傷的になってしまいます。心に響くから」と涙を流して述べつつも、「ドナーの存在はとても大切」と続け、希望の光をもたらす命の贈り物である臓器移植の重要性を訴えた。
ちなみにアメリカでは、2022年だけで5600人が臓器移植を待ちながら死亡しているそうで、昨年2月には腎臓移植手術後に初めて、娘(25)がドナーであったことを知った男性(60)が話題となっていた。
画像は『USA TODAY 「‘You will always have a part of her in you’: Florida teen saves dad’s life with kidney」(Memorial Healthcare System)』『Delayne TikTok「watch my dad find out that I was his anonymous kidney donor after keeping it a secret for 8 months」』『Jenny Burns Instagram「So much to be grateful for this Thanksgiving!」』『ABC News 「Mom hears late son’s heart beat in 14-year-old boy for 1st time」(Louisiana Organ Procurement Agency (LOPA))』『Joann Jackson Bogard Facebook「Our hero saved 5 lives!」』より
(TechinsightJapan編集部 A.C.)