プールで溺れ、回復が見込まれなかった息子(1)の臓器を提供した両親は昨年、息子の心臓を受容した男児と対面し、移植された心臓の音を初めて聞いた。息子を亡くしてから1年4か月後のことで、力強い鼓動を聞いた両親は思わず、繋がれた命に涙したという。米ニュースメディア『People.com』などが伝えた。
米テキサス州ヒューストンに住むジェニー・バーンズさん(Jenny Burns、37)は2022年6月、当時1歳2か月だった長男ボー君(Beau)が自宅プールで溺れ、意識を失っているのを発見した。
息子の姿が見えないことに気付き、捜し始めてから約3分後のことだったそうで、大声で助けを求める妻の声を聞いた夫ロブさん(Rob、39)がボー君を引き上げ、すぐに心肺蘇生を開始。ボー君の心臓は救急車が到着前に再び動き出したという。
ボー君はその後、ダラスの小児メディカルセンターにヘリで搬送され、集中治療室でケアを受けた。しかし容体は思わしくなく、バーンズさん夫妻と長女エマちゃん(Emma、10)は奇跡を信じて回復を祈り続けた。
ところが入院から4日目、夫妻は医師に「もうできることはない」と告げられ、衝撃を受けた。また、その時初めて臓器移植という選択肢があることを知り、決断を迫られた。
ロブさんは当時のことをこのように述べている。
「実は母と祖母は2人とも診療看護師でね。私は医学教育を重視した家庭で育ったし、意思決定の重要さというのをよく理解していた。臓器移植は私たち家族にとって、これまでで最もつらい決断の一つだったけれど、『ボーが他の人の命を救える』と考えることで救われたんだ。」
「それに私たちが決断すれば、誰かが『臓器が見つかった』という奇跡の電話を受けるだろうということは分かっていた。だから臓器移植に迷いはなかった。」
こうしてボー君は7日間入院し、生後4か月だったエリー君(Eli)に心臓を、40歳の女性に腎臓を、4歳のレオネル君(Leonel)に肝臓を提供すると、