1997年にロシアでトラが人間を襲う事故が発生していたが、このほど英ニュースメディア『The Mirror』がその事故をトラによる復讐だったと伝えている。トラは自分に銃を向けた密猟者を半日以上も待ち構え、残忍に襲ったという。
1997年12月のこと、ロシア極東のプリモーリエ地方に住む養蜂家のウラジーミル・マルコフさん(Vladimir Markov、47)が、シベリアトラに襲われて亡くなった。マルコフさんの遺体は食いちぎられており、目を覆うほど凄惨な状態だったようだ。
当時の状況は、カナダ出身の作家ジョン・ヴァイラント氏(John Vaillant、61)の著書『The Tiger: A True Story of Vengeance and Survival』の中で明らかにされている。ヴァイラント氏は、カナダで2016年に起きた大規模な山火事を題材にした著書『Fire Weather: The Making of a Beast』を今年5月に出版しており、同著が注目を集めたことで過去の著書にも目が向けられた。そして今年8月、英ニュースメディア『The Mirror』がマルコフさんを襲ったトラについて伝えたところ、多くの関心を集めた。
『The Tiger: A True Story of Vengeance and Survival』によると、1992年以前のロシアには400頭ほどの野生のシベリアトラが生息していたが、1994年までにそのうちの100頭ほどが密猟者によって殺され、中国に売られていったそうだ。そのため同年には、密猟者からトラを守るための密猟対策部隊「インスペクション・タイガー(Inspection Tiger)」が結成された。
そんな中、養蜂だけでは生活が成り立たなかったマルコフさんは、違法に密猟して闇市場で獲物を売るようになった。そして12月の雪の積もる中、マルコフさんはトラが仕留めたイノシシの臀部の肉を切り取って持ち帰ろうとしたところ、近くにいたトラに気づかれて襲われそうになった。トラは体長9フィート(約2.74メートル)で体重500ポンド(約227キロ)の巨体だったそうで、マルコフさんは逃げる間がなかったため、トラに銃を向けて発砲した。
撃った銃弾はトラに命中したものの致命傷を与えることはなく、