米カリフォルニア州の図書館で、このほど約100年の時を経て本が返却された。図書館は返却した人物の名前や連絡先を聞いていなかったことから、その人物を探すためメディアに連絡し、全米のニュース番組で放映された。すると本を返却した男性は、番組を見て延滞料が発生するかもしれないことに気づき、図書館に連絡した。幸いなことに図書館は遅延料金の制度を廃止していたが、当時の制度のままであれば日本円で23万円以上の支払いが求められていたという。米日刊紙『The Washington Post』などが伝えている。
米カリフォルニア州のセントヘレナ公共図書館で5月10日、1927年2月21日に貸し出された本「A Family History of the United States(アメリカ合衆国の家族史)」が返却された。本を返却したのはジム・ペリーさん(Jim Perry、75)で、彼はカリフォルニア州ナパ郡にある自宅でこの本を見つけたそうだ。
ペリーさんはかつて、南大西洋に浮かぶイギリス領の火山島、セントヘレナ島に妻のサンドラさん(Sandra)と住んでいた。サンドラさんが2015年に亡くなると、約2年後にペリーさんはナパ郡に引っ越したが、その際に家族代々受け継がれてきた古い本も一緒に持ってきたという。
今年の5月、ペリーさんは「子供たちに昔の物の山を残したくない」との思いから、家の片づけを行うことにした。散らかり放題だった本を棚に整理していると、ボロボロになった図書館の本があることに気づいた。だがペリーさんは、それが特別な本だとは思わなかったそうで、特に何も考えずに返却した。
本の著者は歴史家のベンソン・ロッシング氏(Benson Lossing)で、ペリーさんの妻サンドラさんの祖父であるジョン・マコーミックさん(John McCormick)が借りたものだった。ペリーさんによれば、マコーミックさんは幼い2人の娘にアメリカの歴史を教えるためにこの本を借りたかもしれないという。
ペリーさんから本を受け取った図書館職員によると、