新しい7人のきょうだいと共に安心した生活を送れるようになった。しかし残念ながら2016年、家族はトニー君の両脚切断という苦渋の決断をした。
一方でトニー君の実の両親であるジョディ・シンプソンとトニー・スミスは「怪我をしたのはひどい事故にあったからだ」として虐待の容疑を否認し、不起訴となった。しかしポーラさんが警察、地元議員、そして検察庁に働きかけたことで、2017年にシンプソンとスミスは陪審員裁判にかけられ、翌年には当時の最高刑である懲役10年の有罪判決がそれぞれに下った。
だがその短すぎる刑期を不服に感じたポーラさんは、さらに厳しい処罰を求めて活動を始めて2021年、トニー君の名前にちなんだ「トニーの法律(Tony’s Law)」が制定された。そして2022年6月、この法律が施行されシンプソンとスミスの刑期は14年に引き延ばされた。ポーラさんはこれからも虐待抑止への活動を続けていくという。
両脚を失ったトニー君だったが、養父母から贈られた義足と松葉杖を使って歩く練習を始めた。彼の障がいは脚だけでなく手首や右耳にも残っている。だが2020年、トニー君は5歳の時に30日で10キロを歩くチャリティーウォークを成し遂げ、自分を助けてくれた病院のために130万ポンド(約2億円)の義援金を集めた。トニー君の行動は人々を勇気づけてその年、困難な状況にありながら勇敢に行動する英国人を称える「プライド・オブ・ブリテン賞(The Pride of Britain Awards)」を受賞している。
トニー君と新たな家族については多くのメディアが取り上げており、「とても愛らしい笑顔だよ」「今の彼には素敵なママと家族がついているね」「両親の刑期は短すぎ。トニーの法律は必要だった」「彼はこれからも、いろんなことを達成していくんだろうね」といった感動の声があがっている。
画像は『The Mirror 2022年7月2日付「EXCLUSIVE: Mum of abused boy who had both legs amputated says Tony’s Law is ‘just the start’」(Image: Adam Gerrard / Daily Mirror)』『The Sun 2018年7月29日付「‘THEY SHOULD ROT IN JAIL’ Adoptive mum of three-year-old boy who lost legs after brutal attack by biological parents calls for tougher prison sentences」(Credit: Oliver Dixon)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 桃野まみ子)