暗い夜の海で遭難したスコットさんにとって圧倒的に不利な状況だった。しかしそんな中で奇跡のような出来事が起こったとして、スコットさんは次のように明かしている。
「サメに襲われることなど考えていませんでしたが、泳ぎ続けてしばらくして水しぶきの音が聞こえて。そこには中型のゼニガタアザラシがいたのです。水の中に入ったアザラシは私に近づいて犬のようにすり寄ってきました。その時、どんな困難な状況でもきっと助かるという神のお告げだと思いました。まるでアザラシが『大変だけど頑張って』と応援してくれているようでした。アザラシに話しかけたり、歌を歌ったり、ジョークを言ったりしている間は自分の状況を忘れることができたので本当に助かりました。」
凍えそうになりながらも5時間ほど泳ぎ続け、ようやく「Platform Gail(ゲイル海上石油掘削施設)」にたどり着いたスコットさん。プラットフォームの乗組員は彼を救出してシャワーで体を温めてくれたそうだ。そして沿岸警備隊によって病院に搬送され、低体温症の治療を受けた。
スコットさんが乗っていたボートはサンタ・クルーズ島から5マイル(約8キロ)東にあるアナカパ島で発見されたのち、曳船の乗組員によって回収された。
海峡の監視活動を行っている海兵隊員のポール・アマラル氏(Paul Amaral)は、スコットさんが無事だったことに驚きこのように述べている。
「彼がこの試練を乗り越えたことは本当に信じられないことです。海に入る前に準備をしてウェットスーツを着ていてもプラットフォームまで泳ぐなんて恐ろしいことですから。夜に、しかも短パンとTシャツで水に入るなんて想像できません。月もないし真っ暗ですからね。」
画像は『The Mirror 2022年2月16日付「Man who fell into ocean claims he was ‘helped by seal’ during five-hour swim to safety」(Image: Newsflash)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 上川華子)