過去に発せられた断片的な言葉だけにフォーカスし「あなたはもう終わった」と吊るし上げ、抹消(cancelled)しようとする風潮のことだ。
黒塗りメイクを施し俳優クリス・ロックのモノマネをした20年近く前の動画が浮上し、槍玉に上がった大物司会者ジミー・ファロン然り。2009年頃の同性愛者に対する差別的発言が再び取り沙汰され、すでに内定していた第91回アカデミー賞司会の座を自ら辞退することを余儀なくされた俳優ケヴィン・ハート然り。そんな“キャンセル・カルチャー”について意見を求められたシャロンは、ラジオ番組のなかで自身の見解を次のように熱く語った。
「“キャンセル・カルチャー”なんていう風潮は、愚の骨頂だと思う。誰かが感じたり思ったりしたことを伝えた言葉が、自分には不快だと感じられることがある。それって皆が学び合い、成長し合い、互いへの理解を深める絶好のチャンスだと私は思うの。」
「年齢や文化、生い立ちといった点で、私達は皆異なるわ。培ってきた経験も違うし、これまでに負ったトラウマ(心的外傷)も違う。子供時代に受けた躾や両親、宗教的背景。私達は皆、あらゆる点で異なるの。」
「ある1つの声明やコメント、誤解だけにフォーカスにして、それを理由に1人の人間を完全に抹消する前に、(見解の相違について)当事者間で話し合う機会を持たせる、そういう社会であるべきだわ。」
「そんな器の小さい人間でいるのはやめるべきね。私達は、たった1つの文で判断されるような存在じゃないはずよ。人として成長し、他人の気持ちを理解する心を育むべきだわ。」
度々、番組司会者の言葉を遮りながらそう語ったシャロン・ストーン。彼女の発言には「全くもってその通り」「“キャンセル・カルチャー”自体が“キャンセル”されるべき」といった共感の声が多数寄せられた。
過ちを指摘し、正そうとする姿勢そのものは間違いではないものの、それをあえてSNSで炎上させ、意図的に誰かを破滅に追い込む“キャンセル・カルチャー”は寛容性を掲げる“ダイバーシティー(多様性)”や“インクルーシブ(包括的)”とは対極にあると考えられ、2019年にはバラク・オバマ元大統領も「“キャンセル・カルチャー”はアクティビズムではない」「現状の改革にはつながらない」と苦言を呈していた。
(TechinsightJapan編集部 c.emma)