そこには「7日。7日も経つのにジェイドは私たちから遠く離れていくだけ。望みはない。ジェイドが私たちのもとに返ってくることはないのだ。インフルエンザに感染したばかりに…」と絶望に似た言葉が並んでいた。
一方でジェイドちゃんを担当していたテレサ・チェコ医師は「ANEは非常に稀な症例であるため、過去に発症した子供についてリサーチをしたところ、ある研究結果を発見したのです。それによると子供4人のうち3人が死亡していたことが分かりました」と語り、ジェイドちゃんの経過を注意深く観察していたそうだ。
しかしその翌日の1月1日、ジェイドちゃんに奇跡が起こった。目を開けるとアマンダさんがそばにいることに気付いたのか、その手をギュッと握って笑ったのだ。ジェイドちゃんはその後、ゆっくりとだがベッドに座ることや食事もできるようになり、人工呼吸器が外された。
「ママ、私大変なことになっちゃったのね」―そんな言葉を発するまで元気になったジェイドちゃんだったが、医師はある異変に気付いていた。ジェイドちゃんは目の前に大好きだったぬいぐるみが置かれても見向きもせず、ボールを投げても目で追うことをしなかった。ANEにより脳内の視覚を司る部分が影響を受け、視力を失ってしまったのだ。
チェコ医師はジェイドちゃんの状態やインフルエンザの後遺症について、このように述べた。
「ジェイドちゃんは目に異常があるわけではありません。問題は脳なのです。視力が戻るかどうかは現時点ではわからず、3~6か月間様子をみることが必要です。ただ6か月後にも同じ状態が続くようであれば、視力の回復はないでしょう。命が助かったことは非常に幸運でしたが、今後は認知・発達・学習能力などに問題が生じる可能性もあるのです。」
ジェイドちゃんは約2週間の入院を経て1月9日に退院することができたが、母親のアマンダさんは次のように注意喚起している。
「私の2人の娘は昨年3月にインフルエンザの予防接種をしており、1年間は注射の必要がないと思っていましたが、それは私の勘違いだったのです。医師には毎年ウイルスの型が違うので、冬のインフルエンザが流行する前の10月末頃までに予防接種をすることを勧められました。インフルエンザ感染による合併症がいかに怖いものかをより多くの人に知ってもらい、毎年同じ時期に予防接種を受けて欲しいと思うのです。」
なお専門家は「予防接種をした場合、インフルエンザの発症予防効果は40~60%と言われています。完全に抑え込むことはできませんが、大切なのは予防接種をすることで重症化を抑えられるということなのです」と述べている。
ちなみにアメリカでは、今年に入ってすでに32人の子供がインフルエンザで亡くなっている。うち約3分の2にあたる21人がインフルエンザB型の感染者だったそうだ。
画像は『The Sun 2020年1月13日付「ROBBED OF HER SIGHT Unvaccinated girl, 4, goes blind and suffers brain damage after nearly dying from the flu」(Credit: GoFundMe)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)