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writer : maki

【エンタがビタミン♪】『いだてん』が大河に新風か? オリンピックの歴史と嘉納治五郎の功績を令和に知らしめた意欲作

女性選手がスポーツで活躍する道を拓いた嘉納治五郎と金栗四三の功績を『いだてん』で知った人も多いだろう。

第37回本編後の『いだてん紀行』には、熊本県上益城郡出身の柔道家で1984年ロサンゼルスオリンピック金メダリストの山下泰裕氏が登場。「当時の時代的背景から日本にオリンピックを持ってくるというのはとても普通では考えられない。嘉納先生そのものが世界のIOC委員から非常に信頼されており、命を懸けて日本招致を成し遂げられたのだと思う」との趣旨で振り返った。

彼は以前、全日本柔道連盟会長としてインタビューを受けた際に「柔道を通じて学んだことは社会に生きると思っており、嘉納治五郎師範が柔道を創始し、柔道を通して目指したものは何なのか、なぜ柔の道と名付けたのかという原点を大事にしたい」と話している。

『いだてん紀行』では「『柔道ってあの嘉納がつくったんだよな』そういう嘉納先生に対する思いが1964年の柔道の東京開催に…」と涙で言葉を詰まらせながら、「日本オリンピック委員会の会長として、嘉納先生の志を受け継ぐ後継者の1人でありたい」と2020年に向けて決意を見せていた。

ドラマは10月6日放送予定の第38回「長いお別れ」で日中戦争が長期化し1940年東京オリンピック開催への反発が強まるなか、やがて太平洋戦争に突入して事態はさらに悪化していく。

これからは嘉納治五郎の遺志を継ぐ田畑政治をはじめ、嘉納と「最後の晩餐」をともにした外交評論家でジャーナリストの平沢和重(星野源)や東京都知事の東龍太郎(松重豊)、日本オリンピック委員会常任委員の岩田幸彰(松坂桃李)などの活躍にも注目したい。

大河ドラマは戦国時代や江戸幕末期を書いた歴史小説を題材にすることが多い。『いだてん』は『2020年東京オリンピック』の開催を前に日本におけるオリンピックの歴史を題材にしており、脚本を手掛けた宮藤官九郎は明治後期から昭和中期における人々の暮らしを落語をまじえながら表している。題材への視点の当て方や脚本でオリジナリティーを出す手法として、大河ドラマに新しい風を吹き込む意欲作と言えるだろう。

画像は『星野源 Gen Hoshino 2019年9月29日付Twitter「このあと20時からNHK大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」に、星野源が外交評論家・ジャーナリストの平沢和重役として出演します。」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)

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