忌野清志郎がボーカルを担当するRCサクセションが1988年(昭和63年)8月15日に発表した洋楽のカバーアルバム『COVERS』(カバーズ)は本来、同年8月6日(広島平和記念日)に発売予定だった。しかし、収録曲の『ラヴ・ミー・テンダー』と『サマータイム・ブルース』が反核、反原発を歌っていることから発売中止になった。音楽評論家の湯川れい子が4月9日、『サマータイム・ブルース』を初めて聴いたというフォロワーによる「福島原発事故そのものを歌われているような歌詞ですが、福島原発事故の24年も前に作られた曲と知りまして大変驚きました…」とのツイートを受けて当時を振り返っている。
記録によると当時、忌野清志郎は1988年6月9日の夜にRCサクセションが所属するレコード会社・東芝EMI(現・ユニバーサルミュージック EMIレコーズ・ジャパン)の邦楽最高責任者、石坂敬一統括本部長に呼び出された。
石坂部長は『COVERS』発表を見合わせたい考えを告げて、もし『ラヴ・ミー・テンダー』と『サマータイム・ブルース』を含む4曲をカットすれば発売してもよいと伝えたという。
清志郎は「ロックの東芝だからこそメッセージ色の濃い作品を出すべきだ」と主張して折れず、話し合いは翌日も続き東芝EMIで再度会議を行ったが結局、発売中止が正式に決まった。ただ、話し合いで「素晴らしすぎて出せないっていうんだったら、それを新聞に出してくれ!」と訴えた清志郎の言葉は受け入れられ、6月22日に全国紙の新聞広告で「素晴らしすぎて発売できません」と掲載された。
ところが『COVERS』を望むファンの声が高まりマスコミも取り上げたことによる世論の後押しに加え、