映画のシーンや昔の学校での授業を思い出し見よう見真似でCPRを行った。すると約3分後にスリニヴァーサさんは意識を取り戻し、ちょうど救急隊員も到着。酸素マスクを与えられるなど救急隊員らの治療を受けたスリニヴァーサさんは、その後地元の病院へ搬送され、数時間後には完全に回復した。
スリニヴァーサさんは、後に命を救ってくれたアドバイク君と家族のもとを訪れ、アドバイク君にお礼として50ドル(約5,400円)のギフトカードを手渡した。この件は米メディアで大きく報じられたが、アドバイク君は「こんなに注目を浴びたくなかった」とシャイな一面を見せつつも、「もし誰かが彼を助けなきゃ、死んでしまうか重症になっていたと思う。そうなったら彼の家族にとっても辛いことになるだろうから、助かってよかった」と口にした。
家族と一緒に3年前にインド南部から米国に移住したアドバイク君は、3年半ほど前に水泳を習い始めたばかりだった。我が子の行動を誇りに思う母のラリサさんは、メディアの取材に対してこのように話している。
「息子に『飛び込んで』と頼んだ時、水泳教室で息子が習ったことを咄嗟に思い出したんです。水底まで潜って、輪を拾い集めて上にあがってくるという練習をしていた息子の姿を目にしていたので、その要領で息子の息が続けば男性を救うことができると思ったんです。私も子供の頃に水泳を習いたかったのですが、インドでは女性が水泳を習うことは一般的ではなく、私の場合も父が許してくれませんでした。」
人命救助に一役買ったおじのサシールさんは、「甥がしたことはただただ素晴らしい。甥があの場にいなければ、同じ結果にはなっていなかったかもしれませんから」とアドバイク君を絶賛した。また父のラグーさんは、「本人のライフスキルのためにも水泳を習わせたのですが、今は私たち夫婦も水泳を学ばなければという気持ちになっています」と泳げることの大切さを改めて実感したようだ。
今回の件で、アドバイク君とサシールさんはイーガン警察の人命救助賞にノミネートされたそうだ。同警察のアーロン・マックテムズ警官は、「溺れている成人を子供が救助するという話は私は今まで聞いたことがありません。それが可能だと考えたこともなかったのですが、アドバイク君は危険を察知してプールに飛び込み、男性の命を救ったのです」と11歳少年の勇気ある行動を称賛した。
画像は『PEOPLE.com 2019年1月2日付「11-Year-Old Boy Saves Man More Than Twice His Size from Drowning: ‘He Just Jumped Into Action’」(Eagan Police Department)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)