‟世の中まだ捨てたものではない”という気持ちになる話題がアメリカから届いた。ビーチで溺れかけていた家族に対して、見知らぬ人同士が手をとりあって沖にいる家族を引き上げるための人間ロープを作った。目撃者によってこの時の様子を捉えた写真がFacebookに投稿され、人々に感動を与えている。『Sky News』などのメディアが伝えた。
今月8日のこと、米フロリダ州のパナマシティビーチでロベルタ・アーズレイさん(Roberta Ursrey)が突然、息子たちの悲鳴を耳にした。沖合を見ると息子たち家族が溺れかけていたため、ロベルタさんは人々の制止を無視して助けに向かった。
しかし思ったより潮の流れが強く、あっという間にロベルタさんを含めた家族9人が水深約15フィート(約4.5メートル)の沖合へと流されてしまった。その瞬間、ロベルタさんは「ああ、もうダメだ。家族も私もこうやって死ぬんだわ」と思ったという。
ちょうどその時、ビーチサイドにいたジェシカ・シモンズさん(Jessica Simmons)が騒ぎに気づいた。もともと泳ぎが得意であるジェシカさんは、浜辺に捨てられていたボディボードを掴んで救出に向かった。
必死に泳いだジェシカさんだったが、その最中にジェシカさんの夫が数人の男性を引き連れて手をしっかりと握り、溺れた家族を引き寄せるための人間ロープを作り始めていたという。
その人数は徐々に増えて80人ほどになり、泳げない者は浅瀬で手をつなぎ、ある者は首まで水につかっていた。そして人間ロープは距離にすると90メートルもの長さとなり、ついに家族全員を救出することができたのだ。
ジェシカさんはこの時の様子を次のように語っている。
「溺れていた人たちは皆疲れ切っていました。でも絶対全員助けるという気持ちで、子供たちから1人ずつ救助していきました。それは本当に驚くべき光景でした。知らない者同士がお互いを信頼し合い、協力して溺れていた人たちを助けたのです。」
救出された家族はすぐに病院へと搬送されたが、命に別状は無いとのことだ。一時、ロベルタさんの母親が海水を飲んで心臓発作を起こし危ない状態だったが、その後意識を取り戻し現在は入院中だという。