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writer : tinsight-suzukoellis

【海外発!Breaking News】認知症の妻(86)を殺害した夫(84)に実刑与えず 判事「この判決は全く持って特例」(英)

ローレンスは心神耗弱(限定責任能力)の状態で妻を殺害したこと(過失致死罪)を認めたものの、殺害時は慈悲の行為をしていると心から信じていたことを明かした。法廷には、ローレンスをサポートしている親族や友人、隣人らが駆けつけており、判決を見守った。愛する妻に「施設に入れない」と誓った約束がこのような悲しい形で実現されたことについては、デイヴィッド・ストックデール判事も「非常に悲しく胸が痛むケースだ」と口にした。

「62年間連れ添った被告と妻は、互いに献身的に支え合いながら幸せな結婚生活を送ってきたことだろう。妻の健康状態が悪化しても、被告は自分も高齢であるにもかかわらず、外部の援助を求めることもせずに懸命に介護に尽くしてきた。妻への愛は無条件であったといっていい。しかし、妻は自分がいずれ介護施設に入れられてしまうのではという不安を抱えており、特に容態が悪化してからは、繰り返しそのことを口にしていたようだ。被告は、妻の意思を汲み取るために一人きりで介護に尽くしてきた一方で、やはり老々介護の厳しさにこれ以上耐えることができなかった。妻が失った人生に報いたり、時を戻すことはできない。この判決は全く持って特例となる。」

このように語った判事は、ローレンスに対して2年の執行猶予付き2年の有罪判決を言い渡し、ローレンスは実刑を免れた。裁判所に任命された2人の精神科医は、ローレンスは介護のストレスが引き起こした適応障害を抱えていると診断し、そのために合理的な決断をする判断が実質的に損なわれてしまったと見解を述べた。また、ローレンスの弁護人は「誰の援助も受けたがらなかった被告だが、プライドの問題ではない。妻の意思を尊重していたがためのことだった。しかしそれが重荷となってしまった」と話した。

パトリシアさんの甥にあたるサミュエル・ホワイトサイドさんは、被害者の心情を綴る報告書で「家族はローレンスに対しての恨みは抱いていないが、専門の援助を受けてほしかったとは思う。きっと自分の妻の症状が悪化していくのを見ていることに耐えられなくなってしまったのだろう」と語った。

このニュースを知った人からは、「今回の執行猶予については正しい判決だと思う」「自分も同じ状況になった時に施設に行くのは嫌だと思ってしまうな」「認知症は残酷な病気よね。最も悲しい事件のひとつだと感じたわ」「愛する人が認知症になって衰えていくのを見ることほど辛いものはないからね…」「でもやっぱり他に方法がなかったんだろうかと思ってしまう。頑固に外部の援助を断らずに、サポートを受けていれば悲劇は起こらなかったのかもしれない」「自分が殺害したとはいえ、これからも毎日きっと奥さんのことを恋しく思って暮らしていくでしょうね。なんて胸が痛む事件なの」といった声があがっている。

画像は『Manchester Evening News 2018年11月22日付「A husband’s determination to keep his promise to his wife and never put her in a home ended in tragedy」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)

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