両脚が壊疽のため黒く変色し始めていた。昏睡状態から目覚めたジャコさんは、病院のベッドに横たわりながら組織が死んで壊疽した脚や指を見て、どれほど深刻な状態に陥っているかを知り「自分は全てを失うのだ」と思ったという。
4か月後、ジャコさんは両膝下と右手の全指、左手指1本を切断した。更には壊疽で形が崩れてしまった顔面の再建手術も受けなければならなかった。現在、義足を装着して再び歩くことができるようになり、自立した生活が可能になったジャコさんだが、変形を留めたままの顔により自信をすっかりなくしてしまったと語る。
「顔の形が崩れてしまった事実を受け止めていかなければならないのはとても辛いことです。でもどうにもなりません。自立した生活を取り戻せた一方で、この顔のせいで出かけることも億劫に感じるようになり、自信を失ってしまいました。」
ジャコさんの敗血症の原因について当初、医師らは当惑していたようだ。しかし3週間後の血液検査で、犬の口腔内に生殖している細菌が原因であることが判明した。結果、ジャコさんとパートナーはハーヴィーを安楽死させる決断を下した。
「直接噛まれなくても唾液を通して感染するので、もし子供や誰かが舐められて感染でもしたらとんでもないことになりますし、不安で仕方ありませんでした。自分がこんな目に遭って、一時期は激しい怒りを感じ犬を責めたりもしましたが、細菌に感染したことはただもう運が悪かったのでしょう。安楽死させたことはとても悲しいですが、ハーヴィーは老犬でいずれにしても先が短かったのです。」
生死の淵を彷徨って1年半、ジャコさんは死へ近づく経験をして障がいを抱える身となったことから、自身の患者に対しても更に理解と共感の気持ちが湧くようになったという。また、苦境を乗り越えた自分の内面の強さにも気づき、病に伏していた時に家族や友人たちが自分をケアしてくれたことで、より一層彼らとの結びつきが強くなったと話している。
画像は『Manchester Evening News 2018年4月11日付「‘My dog scratched my hand – four months later I had to have my legs amputated and surgery on my face’」(Image: Manchester evening news)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)