来年結成45周年を迎えるTHE ALFEE(桜井賢・坂崎幸之助・高見沢俊彦)が、12月20日に今年第2弾となるシングル『人間だから悲しいんだ』をリリースした。幅広いジャンルを手がける彼らだが、新曲はTHE ALFEEの真骨頂であるハード・フォークロックな楽曲だ。テックインサイトではTHE ALFEEの3人を直撃、たっぷりと話を聞いた。彼らにとっての今年の重大ニュースも聞いてみた。
■新曲のメインヴォーカルは「オーディション」で決定
―THE ALFEEは3人ともメインで歌えることも魅力のひとつですが、新曲はシングルとしては坂崎さんが16年ぶりにメインヴォーカルを務めることも話題ですね。誰にするかオーディション(3人が一人ずつ実際に歌ってみて決める)をなさったとか。
坂崎:(坂崎が前回メインヴォーカルだったシングル)『Juliet』から16年経っちゃった。それがまずびっくりですよね。今回はタイトルとフォークロック調ということで「(メインヴォーカルは)坂崎さんですね」という声が多かったんですよ。嫌な予感がしたんですけど(笑)。
高見沢:今だから言いますけど、「自分は違うな」と思っていたんですが、3人とも歌えるキーだったので、久しぶりにオーディションをやってみました。僕らはあまり(メインで)歌いたがらないグループなので、オーディションをやらないとリードヴォーカルが決まらない。現に桜井にオーディションを打診したら、お前が歌えばいいじゃんとか言って自分で放棄してましたからね(笑)。
桜井:いや、僕はもう歌いたくて歌いたくて。僕も一生懸命やりましたけど、エントリーナンバー3番の坂崎さんに負けました。
坂崎:嘘つけー。
高見沢:どの口が言ってんだか。
(一同爆笑)
坂崎:でも桜井の歌も良かったですよ。スマートになりますよね。ちょっと洋風というか。
高見沢:確かに。でも今回のシングルは坂崎が一番合いますよ。歌詞の内容もサウンド的にも声の質も含めてね。正直、坂崎の歌入れから「やっぱり思った通りだな」という感じだったけど、まぁでも来年は結成45周年なので3人で(オーディションを)やってみたって感じですね。坂崎もこの曲は入り込みやすいのではないかな。
坂崎:そうだね。「人間」とか「悲しい」というのは僕が大好きだった方々のタイトルや歌詞によく出てきた言葉ですよね。その辺からもやっぱり自分が通ってきたフォークロック系の歌なんだなと感じましたね。
―前々作のシングル『今日のつづきが未来になる』もそうですが、今回もタイトルが哲学のようですね。
高見沢:自分では哲学的とは思わないけど、日常誰もがあり得る事を歌にしたというのはあるかもしれない。あと『今日のつづきが…』も『人間だから…』も歌詞から作っているから、よりメッセージが強いかもしれませんね。いつもはアレンジやメロが先行しますが、最近のシングルは逆のパターンということです。
■新曲は「今の僕らの等身大のメッセージ」
―では、この曲ができた経緯やきっかけを教えてください。
高見沢:来年の結成45周年が大きかったですね。それに向けて弾みをつけるシングルというイメージです。たとえば20代・30代の頃だとこういう歌は出てこないと思うんですよ。今、45年経って年齢も重ねてきたからこそ歌える歌を出そうと。それが『人間だから…』になりました。今の僕らの等身大のメッセージですね。これを自分たちのアニバーサリーソングにしようという気持ちですね。基本的にTHE ALFEEの音楽的なバックボーンというのは、ハーモニーとアコースティックギターだと僕は思っていますが、高校や大学時代にコピーしていたサウンド、CSNやS&Gもアコースティック+コーラスじゃないですか。そこを原点回帰としてちょっとハードにしたサウンドを目指しましたね。まあ、当時では考えられない高いギターを坂崎は弾いていますけどね。
坂崎:値段ですか(笑)。Martin / D-45ですから、当時20歳そこそこでは持てなかったですね。
―ちなみにお値段はどのぐらいなのですか?
高見沢:1億ぐらいですか?
坂崎:そんなにしない(笑)。でも、今は僕が買ったときの倍以上になっていますね。1968年製のD-45って67台しか生産していないんですよ。戦後、最初に作られたD-45なんですけど、今はもう多分7~800万円するんじゃないですか? 加藤(和彦)さんが生前アメリカで見つけて、「3万ドルで出てるから、幸ちゃん(=坂崎)買えば?」って。「無理ですよ」って言ったら知り合いが買ったの。それで『和幸』(加藤和彦さんと坂崎のユニット)のときに借りて弾いていたんですね。それから1、2年後にD-45が欲しくて頑張って買おうかなと思っていたら、楽器屋さんにちょうど売りに出ていて、加藤さんに値引き交渉を頼んだら、僕が借りていた人が委託で出していたの。それで「幸ちゃんだったら」って。すごい縁があって、びっくりしちゃった。
―新曲はイントロからアコースティックギターがよく聞こえていますけど、そのギターで弾かれているのですか?
坂崎:はい。あと歌の間のストロークも。あまり鳴りのいいギターをアルフィーの大音響のステージで使ってしまうと、レコーディングとは違ったキャラになってしまうので、そこがすごく生ギターの微妙なところですけど。(ステージでは)日本でも有名なギタービルダー、デザイナーのテリー中本さんのギターがほとんどですね。