桑田佳祐がニューアルバム『がらくた』の発売日となる8月23日、福岡エリアのFM番組『モーニングジャム』(FM FUKUOKA)に収録で出演した。パーソナリティの中島浩二が東京でインタビューしたものをおよそ30分放送、「桑田さんに影響を与えた人をご紹介してほしい」と事前に伝えていたところメモにびっしりと書いて臨んでくれた。
音楽的には姉の影響で子どもの頃からビートルズが好きになったことが大きい。その流れでジョージ・ハリスン主催によるチャリティコンサート『バングラデシュ難民救済コンサート』(1971年)の映像でボブ・ディランを初めて見た。『がらくた』の収録曲をはじめ作品に「ボブ・ディラン」の名前が登場するが、「リアルタイムではない、ビートルズつながりで知った」ものだという。
エリック・クラプトンも影響を受けたミュージシャンの1人だ。“ホワイトアルバム”と呼ばれるビートルズの2枚組アルバム『The Beatles』でジョージ・ハリスンが歌う『ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス』を聴いて「ジョージ、ソロギター上手いな」と驚いていたら、実はクラプトンが弾いていたので感心を持つ。「酒の飲みすぎ、ドラッグに女性との浮名、人生ネガティブなこともありながら音楽に影響する。人生は陰も日向もあるんだなと教えてくれたのは音楽界ではエリック・クラプトン」「影響を受けたというか僕のヒーロー」とまで評した。
音楽界のみならず影響を受けた人物は多く「向田邦子」「アントニオ猪木」「志村けん」「クリント・イーストウッド」「松田優作」などの名が挙がった。特に「アントニオ猪木」からはモハメド・アリとの格闘技世界一決定戦(1976年6月)で衝撃を受けた。当時大学1年生だった桑田は「あの試合で人生変わりましたよ」「音楽も今までの常識が通用しないと思った」という。その学生時代に組んだサザンオールスターズにより『勝手にシンドバッド』でデビューする。「前の年に流行った『勝手にしやがれ』と『渚のシンドバッド』をよくくっ付けたなと感心されるが、実は志村けんさんのネタなんですよ」という常識破りなデビュー曲だ。
また中島が、最近の楽曲では一段と「詩の紡ぎ方」が素晴らしいと話を向けたところ「昔はあまり歌詞を気にしなかった」というではないか。自身がビートルズの歌詞の意味をあまり考えたことがなく、デビューした頃にフォーク歌手たちが「メッセージだ」と話すので「ファンは歌詞を聞いてくれているんだ」と分かり目からうろこだった。歌詞を意識し出したのは10年ほど前からだという。そう考えるとその頃からメッセージ性のある歌が増えたように思える。