エンタがビタミン

writer : sekihara

【エンタがビタミン♪】<押切もえインタビュー>少女時代は恥ずかしがり屋「カメラの前では大胆になれた」

絵画では二科展絵画部門で2年連続入選、小説では山本周五郎賞候補へのノミネートなど、画家、小説家としても才能を発揮しているモデルの押切もえ(37)。彼女が執筆、表紙絵・挿絵を手がけた初の児童書『わたしから わらうよ』(ロクリン社)が7月4日に発売された。テックインサイトでは、また新たな扉を開いた押切にインタビューを実施し、じっくり話を聞いた。押切は、かつては内気で恥ずかしがり屋の女の子だったという。

『わたしから わらうよ』の主人公は、小学校3年生の桜。夏休みに鳥取のおばあちゃんの家に一人で行くことになり、不安でいっぱいだ。素直に気持ちを伝えられず、自分に自信がもてない桜だが、鳥取の豊かな自然と人々との交流のなかで、そんな自分自身と向き合っていく―。

■障がい者支援運動に参加したのが本書のきっかけ
―今回、児童書ということで少し意外だったのですが、なぜ児童書を?
押切もえ(以下、押切):以前から私が携わっている「あいサポート」という鳥取県の障がい者支援運動があるのですが、大使もさせていただく中で、ひとつの作品を残そうという話が出ていました。そこで、より多くの方に読んでいただける「本」にしようということになり、小学生ぐらいの多感な時期の方々から理解してもらえたらと児童向けの本にしました。

―その運動ではどのようなことをされましたか?
押切:ハンディキャップを持った皆さんと一緒に絵を描きました。鳥取には何回か訪れていて合わせると10日間ぐらい滞在していますが、他にも皆さんが働いているパン屋やカフェ、海産業者のバックヤードなどに視察に行かせていただいたり、音楽活動をしている方の演奏を聴きに行ったりしました。この運動の良いところは「大きなことをどんどん率先してやっていこう」ということではなく、「自分がまずできることを探していこう」「まず理解してちょっとずつでも実践していこう」というところです。私もそれだったらご協力できると思い、大使をお引き受けしました。

■一緒に絵を描き、とても感銘を受けた
―押切さんも好きな絵を通じての活動はいかがでしたか?
押切:とても感銘を受けました。それぞれ才能があり、個性の強い皆さんと力を合わせてひとつの作品を作るということで、絵を描く身としても刺激を受けました。うまく表現できない人がいたり、逆にどんどん描かれる人もいて、そういった皆さんが力を合わせてひとつのゴールに向かい、それがチョコレートのパッケージになって、他の皆さんも喜んでくれたので、私もすごく嬉しかったです。とても感動的で、チープな言い方になってしまいますが、すごく胸に込み上げるものがありました。

■「思い」を絵でも表したい
―その絵ですが、今回、ご自身の執筆では初めて表紙絵と挿絵も担当されていますね。
押切:はい。「思い」を言葉だけでなく絵でも描きたいと思いました。「あいサポート」の活動も絵を通じたものが多かったですし、さらには主人公の桜の好きなことが絵で、絵を描くという行動から世界が広がる物語でもあるので。今回の絵は鉛筆でスケッチブックに描きました。風景は、写真や鳥取のHPを見て参考にしましたが、模写ではなくイメージで描きました。

『わたしから わらうよ』を手に 押切もえ

■初めて親友ができた小学3年生
―今回は児童書ということで、ご自身の子供の頃のことを思い出しましたか?
押切:子供の頃の気持ちに戻りましたね。自分が山形の祖母の家に泊まったときの気持ちはかなり入っています。小さい頃から毎年夏には行っていたのですが、両親が同伴していたときもありましたが、父が送ってくれたときもありました。弟やいとこや祖母がいてもふと両親が恋しくなったりして寂しかったですね。「このまま置いていかれたらどうしよう」と不安になったりもしました。

―桜ちゃんと同じ小学校3年生の頃、押切さんはどのような女の子でしたか?
押切:初めて親友が出来たときですね。それまでは家が近いとか親同士が仲が良いというお友達だったんですけど、初めてすごく面白い女の子に会って、その子に会って私はすごく変われた気がします。もともと人見知りで余計なことを話さない子だったんですけど、しゃべるのがすごく好きになって、その子と笑い合っているのがとても楽しくて。その子は勇気もあって、一緒に裏山や廃墟に探検に行っていましたね。基地を作ったりして(笑)。今でも仲良しで急に電話がかかってきたりします。お絵描きもしましたし、インドアとアウトドアとどちらも楽しんでいましたね。

―なんとなく桜ちゃんに似ていますね(笑)。
押切:(桜に自分の)要素は入っていますね。私も思ったことを言えなかったり、素直に表現できなかったり…。大喜びできる友達が羨ましかったです。

1 2