また、アニソン評論家の冨田明宏氏は「オタクの概念が広がり日常的にアニメを見てアニソンを歌うようになり、特別なことでなくなってきた」ことでカラオケでも普通に歌われるようになったと分析する。
さらにマツコは、このような状況になって「オタクの人たちが危機感を覚えているのではないか」と説く。オタクは自分がいかに特別なもの「マイノリティー」であるかを追求して楽しむはずが、広く知られて「マジョリティー」となってしまいつつあるからだ。「アニソンはもはや“歌謡曲”ですよ」というマツコの言葉が現状をよく表している。
今回、マツコが「オタク」について話したことは、以前『ワイドナショー』(フジテレビ系)でHKT48の指原莉乃がファンについて語った持論を思い出させる。
『第9回AKB48選抜総選挙』の投票速報(中間発表)でNGT48の荻野由佳がまさかの1位となり、2連覇している指原は3位だった。彼女は中間発表とはいえショックだと明かしながら「(私も)あまりテレビに出ていなかった頃の方が急に9位や4位になった。ファンは“見つける”という感覚がすごく好きなので」と体験に基づく持論を展開したのだ。
アイドルファンもやはり「マイノリティー」であることに価値観を見出す傾向にあるのだろう。ただ、その感覚は「オタク」に限らず誰しも少しは持っているものだ。それを追求する「オタク」と一般的なファンとの差が縮まったために、カラオケで「アニソン」が普通に歌われるようになったのだろう。
マツコが「オタクの人がお金を使ってくれなかったらメディアでお金が動かない」というのも一理あるが、「オタク」でなくともカラオケで「アニソン」を歌い音源を購入するようになれば市場には好影響とも考えられる。
一方でさらなる「マイノリティー」を求めて従来の「オタク」が離れていく可能性もあり、その受け皿を作れるかがメディアの課題となる。そうした意味でNGT48やSTU48を結成するAKBグループは先を見ていると言えるのではないか。
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)