しかし顔面は左右に表情筋を持ち、血管や神経が複雑に絡み合っているデリケートな領域である。手術を受けさせるには不安も多いとみえ、「もしも顔の手術を受けるとしたら、私の知る範囲ではヴィクターが最初の患者となります」とジェリーさんは緊張を募らせる。それでもヴィクター君を支える一家のチームワークは素晴らしく、「息子は奇跡の子。きっと良好な結果が得られると信じています」と力強く語った。
プリスクールでのヴィクター君は、担任のアイリーン・ヘンウッド先生によれば「特に5歳のお姉ちゃんが憧れの存在なのか、ヴィクターはいつも彼女の真似をしたがります。カード遊び、歌などが大好きで、私にとってはほかの子と何ら変わりはありませんし、誰もがヴィクターと仲良く遊んでいます」とのこと。外見上の異変を来す奇病の多くは幼い頃に発症することが多いが、特別扱いすることも奇異の目を向けることもなく、周囲がきわめて自然に接してくれるその状況はヴィクター君と家族にとって何よりの励み、生きる勇気となっているに違いない。
ヘビを想像させるほど重い紅皮症と闘うインドの少女、顔のあちこちから植物の根っこが生えたようになってしまう「ツリーマン病」に悩まされているバングラデシュの少女、そして進行性脂肪腫性巨大症という耳慣れない病名と診断され、グローブよりも大きな手を持て余しているタイの女性。奇病、難病に苦しむ人々の心を誰もが理解し、温かい手を差し伸べる。そんな世の中になることを願わずにはいられない。
画像は『Barcroft TV 「Cloves Syndrome: Three-Year-Old Boy Grows Faster On One Side Of His Body」(Mike Bradley / Barcroft Images)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)