今度は小さな帽子とミニワンピに着替えた安室が、14曲目『Baby Don’t Cry』で、両手を高く上げて、観客に手拍子を促す。バックには美しい若葉の映像が流れ、心地よく優しいミディアム・ポップナンバーを歌い終えると、安室は笑顔で小さく手を振った。そして17曲目『Love Story』では、美しい星に囲まれ、ファンの間でも特に人気の高いこのバラードをひとり歌い上げ、大歓声と大きな拍手を浴びた。
VTRを挟んで昨年ヒットしたNHKリオデジャネイロオリンピック・パラリンピック放送テーマソング『Hero』へ。赤いラメのワンショルダーのトップスで再登場した安室が、ドライアイスが炊かれる中、荘厳なこの曲を強く伸びやかな歌声で聴かせる。ファンも「オーオオ…」とコーラスで応え、安室も耳に片手をあてて聴き入った。そしてドラマ『僕のヤバイ妻』主題歌の『Mint』、映画『デスノート』劇中歌の『Fighter』と最新のシングル曲を披露して、本編のラスト曲『Scream』を歌い終わると、ペコリとお辞儀をして手を振ってステージから去った。
「安室ちゃーん!」「奈美恵ちゃーん!」と熱狂的なコールを受けてアンコールでステージに戻った安室は、今度はTシャツでカジュアルな装いだ。『Chit Chat』では、大きなボールが客席にいくつも運ばれる。そのボールを割ると、中からたくさんのミニバルーンが飛び出し、ファンは夢中で手を伸ばす。ミニバルーンは「LIVE STYLE」や「88」の文字とともに、白く虹の模様が入ったもの、ピンクのバラの模様のものなど何種類かあり、その中には安室の直筆サインが入っている少し大きなビーチボールも交っていた。そして映画『デスノート』主題歌『Dear Diary』を歌い、ステージに戻ってきたダンサーたちとラストの『Birthday』のパフォーマンスを終えると、安室は「今日はどうもありがとうございました! また遊びに来てね!」と大きな声で感謝して笑顔でステージを後にした。
アンコールを含めて全27曲を披露した安室奈美恵。ステージで安室はダンスの他にも、上段、真ん中、下段、そして階段を一段ずつ移動していく。それを高く細いヒールでこなすのだから、並大抵のことではない。今回のツアーでは月に10本以上のライブを8か月以上もの間コンスタントに続けるのだから、体調管理にもかなり気を遣うだろうが、1本1本の公演を最高のものにしようとテンションを維持する精神力は相当なものだ。これこそが安室奈美恵がストイックと言われるゆえんだろう。彼女に憧れる同性のファンが多いのもうなずける。
ツアー最終日の5月3日には、本編映像全27曲と特典映像全4曲を収めたこのツアーのライブDVDとブルーレイが早くもリリースされた。長年女性ソロアーティストとしてボーカル&ダンスシーンを牽引する彼女の史上最多のツアー映像だけに、こちらも人気を呼びそうだ。
(TechinsightJapan編集部 関原りあん)