また東が「今回声優として神田沙也加さんや井上芳雄さん、鹿賀丈史さんが参加されていますよね。最近では女優や俳優が声優を務めることも多いですが、どのように感じますか?」と質問すると、川原氏は「確かにこれまでのアニメ声優さんの演技とは違うところがありますよね。僕も最初はそれを違和感と捉えていたんですけど」と最初はいくぶん懐疑的だったことを告白。しかし「実際にアフレコを拝見して考えをあらためました。とにかく存在感がすごい。声優さんは自分の存在を消してキャラになりきる感じですが、俳優さんの場合は逆に存在感が増していくんです」「そうか、これは違和感じゃなくて、“生きている人間らしさ”なんだって。終盤、井上芳雄さんが演じたゲストキャラのエイジが叫ぶシーンがあるんです。『SAOなんてクソゲーの記憶、もらったっていいじゃないか!!』って。その咆哮の生々しさは、普通にはなかなか出せないんじゃないかと思います」とその演技のパワーに圧倒され、認識を新たにしたようだ。
さらに川原氏は神田沙也加について「それにキーとなるAIキャラのユナを演じた神田さんの歌声には心底震えました。人工知能の悲哀みたいなものがありありと伝わってくる演技もすごかった」と絶賛した。同作がヒットした理由として川原氏は「作画と音の力はとても大きいと思います」「僕、あんなに動く戦闘シーン見たことないですよ」と戦闘シーンの素晴らしさを挙げているが、その重要なシーンにも神田沙也加の役割は大きかったようだ。「ユナが歌うなかで戦闘するシーンはぜひ劇場で見直してほしいです。歌をBGMに使うっていうのはすごく難しいと思うんです。普通に使うと歌とキャラのセリフが混じってしまいますから。ゆったりとした曲調から勇ましい感じに変わる瞬間なんか、秒単位でピタッとハメなきゃいけない。実際にやろうと思ったらとんでもなく大変な作業です」「クライマックスに駐車場でキリトとエイジが対峙する一方で、ステージではユナのライブが始まります。ユナの歌をバックに交互に物語が展開する疾走感がものすごい。あそこまで1カット1カットを曲にぴったりはめ込んでいくのは並みの努力じゃないですよ。あのこだわりや粘りがあったからここまでヒットもしたし、よい作品になったんだと思います」と分析し、制作陣の努力にも感服していた。
アニメや原作を知らずに同作を観たという東は「映画を観終わった後、一緒に映画館へ行った相手とデートしたくなるんですよ。劇中舞台の秋葉原UDX前や恵比寿ガーデンプレイスを聖地巡礼したくなっちゃいました。カップルでも楽しめる内容ですよね」と感想を述べている。北米、アジアやヨーロッパでも好調の同作は、ドイツ語圏での一般公開も始まった。今後もフランス語圏、イタリア語圏、メキシコ、ベトナム等でのロードショーを控えており、累計上映館数は全世界1700館を超える見込みだ。
(TechinsightJapan編集部 関原りあん)