イマーニちゃんは亡くなる前に少なくとも3回は床などに頭を打ち付けられていたことも判明しており、それが死に繋がったとみられているが、9月28日朝にロザリンは冷たくなっている娘を抱っこ紐で胸に抱え、バスに乗り込んだ。
バス内の防犯カメラには、その時の様子が明確に捉えられている。見送るジェフリーがロザリンにキスをし、バスのドアが閉まる瞬間にサムアップ(親指を立てる仕草)をしている。ロザリンは平然と亡き娘を抱えており、なに食わぬ顔で座席に着いた。
バスが走行して約20分後、ロザリンは子供の異常を周りの乗客に知らせた。まるでその時に子供の具合が突然急変したかのように見せかけたロザリンを疑う乗客は誰もおらず、乳児の命をなんとかして救おうと乗客らはパニックになりながらも999へ通報した。
乗客の一人が緊急オペレーターと話をしている時の様子も公開されているが、この乗客は慌てた口調で「赤ちゃんが息をしていない」と伝えている。オペレーターはCPR(心肺蘇生法)を試みるよう促すが、乗客はその時に乳児の唇が冷たくなっていることに気付いたという。
40分ほど、乗客らが乳児の状態を気にかけ駆け付けた医師らが救助を試みていた中で、ロザリンは落ち着いた様子で座席に座ったまま携帯電話から誰かにメッセージを送っていたり話したりしていた。現場にいた救急救命士のアンソニー・ステッドマンさんは「このような状態の我が子を目の前にして、彼女のように一度も容態を尋ねることなく平然としていた親は、私の18年のキャリアの中で見たことがありません」と述べている。
逮捕後、押収されたロザリンの携帯電話からは「イマーニが死んじゃったわ」というメッセージにキスを意味する「X」を付けて身内に送っていたことが判明している。ロザリンは取り調べでジェフリーが娘を死に追いやったと主張しているが、ジェフリーは「何が原因で死んだのかは全く想像もつかない」と話しており、両者ともに小さな命が奪われたことへの悲しみや反省の色はまるで見せていないという。
裁判でロザリンは「(9月28日の)朝、起きたら娘の顔と手が冷たくなっていて驚いた。目の上の傷以外は全く娘の異常には気付かなかった」と述べたが、「一部屋しかない狭いアパートで虐待が行われていれば気付かないはずはない」とダンカン・アトキンソン検察官は異議を唱えた。
ロザリンの証言によると、ジェフリーはイマーニちゃんを虐待死させた後、イマーニちゃんの服を脱がせオムツを替え新しい服に着替えさせたという。その様子をロザリンは黙って見ていたという。
なおイマーニちゃんは28日の前日、おそらく死後24時間は経っていることが明確になっており、このカップルが幼い子供の死をバス内で偽装しようとしたのは明らかとされる。
イマーニちゃんは妊娠28週目にわずか450グラムほどで生まれた超低出生体重児だった。小さな体で懸命に命を繋いできた我が子を虐待死させ、さらにその死因を偽装し、イマーニちゃんを救おうとした善良な乗客を欺いたロザリンとジェフリーは現在、イマーニちゃんを死に至らしめた原因に関しては認めているものの、未だ殺意は否認している。
4月20日に行われた裁判では、14時間以上にも及ぶ審議が行われ陪審員による有罪判決を求める声があがったが、ニコラス・ヒリアード判事は判決を5月18日に延期した。
後悔や反省などという言葉からは無縁の2人は、一刻も早くこの極悪な罪から逃れようとすることしか頭にないようで、命の尊さを完全に無視した冷酷極まりない犯罪に世間は怒りの声を隠せない。幼くして命を奪われたイマーニちゃんの死に対する正しい制裁が下されることを願うばかりだ。
出典:https://www.thesun.co.uk
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)