米ボストンの子供病院で、心臓移植手術を受けたのはアリ・シュルツ君(5歳)だ。アリ君は生まれる前に、心臓の左心室にある動脈弁の開放が制限されて狭くなることで全身に血液が送り出されにくくなる「大動脈弁狭窄症」であることが発覚し、生まれてからこれまでずっと入退院を繰り返してきた。
このほど211日ぶりにようやく心臓提供者が見つかり、その喜びを父親が動画に収めた様子が英紙『Mirror』に公開された。両親も大切な我が子の命がこれで救われるならと喜びを隠せず、野球好きのアリ君に「新しい心臓になったら、レッドソックスの試合を観に行こうか」と提案している。
アリ君自身も長い間適合する心臓提供者を待ち望んでいたのだろう、父親から「さっき、ドクターと話をしたんだけどアリにぴったりの心臓が見つかったんだって」と聞くと、満面の笑みを浮かべて「じゃあ、明日にはお家に帰れるの?」と聞く姿が何とも愛らしい。
動画の中では、麻酔をして手術をすることを母親から伝えられたアリ君が不安そうな表情を見せたために、母親が「麻酔をすると手術のことを忘れちゃうのよ」と言うと「じゃあ僕が野球を好きなことも忘れちゃうの?」と口にし「大丈夫、手術の時だけよ」と慰められている。
「怖いけれど嬉しい」そんな気持ちを抱いているアリ君を抱きしめながら、両親は「パパとママがずっとそばにいるからね」と励ました。そしてその手術は3月3日、無事に行われ成功したようだ。
「新しい希望」と題したブログを更新した家族は「アリの新しい心臓は元気にアリの胸で音を立てて動いています」と記して、手術後アリ君は集中治療室で安静に過ごしていることを伝えた。
家族はYouTubeにもアリ君の映像を投稿し、「心臓を提供してくれたドナーとその家族に深い感謝をしています。私たちは今後一日たりともこの恩を忘れることはありません」と綴っている。5歳のアリ君にとって、心臓の手術を受けることは大きな勇気が必要だったはずだ。そして同時に臓器を提供した患者の家族も大きな決断を必要としたことだろう。改めて臓器提供の持つ意義の大きさを感じずにはいられない。
出典:http://www.mirror.co.uk
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)