豪ニューサウスウェールズ州エリナに暮らすダウン症のアディソン・クイン君(16)は、土曜日にできる仕事を探しており、履歴書を自分で作成した。アディソン君の母親リサさんが今月10日、Facebookに息子の履歴書を投稿したことで拡散した。
アディソン君は履歴書に、自分はカレッジの学生であること、週末に1~2時間の仕事を探していることを記して「テーブルの上を拭くこと、掃除すること、床を拭くことが得意です。でもこれは僕の才能のほんの一部です」と長所をアピールした。
また、「性格がよく、周りの人とも仲良くできる」と綴り、話すことに多少の問題はあるものの、短い説明があれば覚えて何度か練習すればこなせるようになるといった仕事への努力は惜しまない姿勢を見せた。さらに、家で自分の服は自ら洗濯し干していること、ゴミ出しや犬の餌やりをしていることなども挙げ、仕事を得る機会を持ちたいと熱望したのだ。
このアディソン君の履歴書をFacebookで見た人たちは彼の努力にエールを送り、嬉しいことにすぐに複数の企業から問い合わせがあったという。そしてアディソン君は、見事に地元のエリナ・ラグビーリーグクラブ(Erina Rugby League Club)の食堂での仕事が決まった。
同ラグビークラブの総支配人イアン・マンローさんは、アディソン君の履歴書を見て非常に好印象を持ったという。マンローさんはアディソン君のことを知る前から、障がい者にも仕事をするチャンスを与えたいと考えていた。アディソン君はマンローさんの心を掴み、すぐに面接を受けることになったそうだ。
その時のことをマンローさんは、地元紙にこう語っている。
「アディソン君とはレストランのエリアで面接をしました。仕事をする意思があるのか聞いたところ『はい』という言葉が返ってきました。彼が家でしていることなど少し話をして、アディソン君が正真正銘の良い人だと思ったのです。彼に社会で仕事をすることの最初のチャンスを与えてあげられたらと思い採用しました。あの若者にはとても感心しましたよ。」
アディソン君にはクラブの食堂でテーブルを拭いてもらったり、食器を片付ける仕事をしてもらうと言い、マンローさんは「いつも笑みを湛えて、家で彼が振る舞っているようにここでも自信を持って仕事をしてもらえたら」とも述べた。
アディソン君の家族は、彼がマクドナルドや豪大手スーパーマーケット・ウールワース(Woolworths)などからも仕事のオファーがあったことに感動。そして今回の彼の採用に、誰よりも喜んでいるという。
マンローさんは「障がいを持つ人々にチャンスを与えるように、他の企業も積極的に取り組むべき。彼らは非常に素晴らしいスキルを持っていますから」と話している。
出典:http://www.dailytelegraph.com.au
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)