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writer : tinsight-ikumi

チャールズ国王のがんを発見、キャサリン皇太子妃の手術を行った「ザ・ロンドン・クリニック」とは <現地レポート>

ハーレーストリートの1本隣にあるデボンシャープレイス(Devonshire Place)の20番地に位置する、立派な門構えの建物だ。病院前の通りは高級住宅が立ち並び、手前の駐車スペースには高級車がずらりと並んでいる。

「ザ・ロンドン・クリニック」前の通りにずらりと並ぶ高級車(撮影:テックインサイト寺前郁美)

取材当日はチャールズ国王ががんと診断されたことが発表された翌日(現地時間2月6日)だったが、周囲には報道陣やカメラマンの姿はまったく見られず、国王と皇太子妃が入院した時のような警察警備の姿もなく、ハーレーストリートは高貴な静けさを取り戻していた。

国王のがん発表の翌日には、高貴な静けさを取り戻した「ザ・ロンドン・クリニック」正面。国王退院時には多くの報道陣が詰めかけた(撮影:テックインサイト寺前郁美)

国王が前立腺肥大症の治療を終えて退院した時、カミラ王妃に付き添われて出て来たのが、この主要病棟の正面玄関ドアだ。

チャールズ国王が前立腺肥大症の治療を終え、カミラ王妃とともに姿を現した「ザ・ロンドン・クリニック」正面玄関(撮影:テックインサイト寺前郁美)

ドアの上には「THE CLINIC」との看板が掲げられ、その上には洒落たバルコニーがある、貴族の館、マナーハウスのような格式ある佇まいだ。

ドアの上に掲げられた「THE CLINIC」の文字がこの名医街の象徴であることを物語っている(撮影:テックインサイト寺前郁美)

木枠にガラス張りのドアを開けて中へ入ると、すぐ真正面にある受付で男女2人のスタッフが笑顔で出迎えた。「国王と皇太子妃が入院されていたのは、こちらの病棟ですか?」と尋ねると、笑顔で「間違いないです」と答えてくれた。

主要病棟では外部からのみ撮影が許可された(撮影:テックインサイト寺前郁美)

主要病棟である病院内での写真撮影は禁止だが、病室には専用のバスルームや電子ベッド、貸金庫、テレビ、ラジオなどが完備されている。入院患者には、コーンウォール産の鮮魚やスミスフィールド・マーケットで仕入れた肉類などを材料に、専用シェフが調理した食事が提供される。

このほかにも、旅行や宿泊、ツアー、劇場ショー、レストランの予約などを手伝う「コンシェルジュ・サービス」など、5つ星ホテルのようなサービスが利用できる。

そして通りを挟んで向かいに建つのが、新たに設立されたがん専門治療センターだ。こちらはモダンな建物で、壁にはエリザベス女王による開院記念と、がんセンターの別名“デボンシャー公爵病棟(The Duchess of Devonshire Wing)”を記した銘板が設置されている。

「ザ・ロンドン・クリニック」主要病棟と通りを挟んで向かいに立つがん専門治療センター「the London Clinic inspired care」(撮影:テックインサイト寺前郁美)

がんセンターは8階建ての施設で、最先端の放射線治療室や化学療法室、ヨーロッパ有数の幹細胞採取室、きめ細かな個別ケアを提供する個室47部屋を完備している。

通りに面した場所に「the London Clinic inspired care」とシンプルに表示されている(撮影:テックインサイト寺前郁美)

センター内には患者と家族が利用できるカフェスペースがあり、売店や座り心地の良いアームチェアを備えたテーブル席が用意されている。窓際には英連邦国の国旗が飾られ、誰もが気軽に弾いてリラックスできるよう、グランドピアノが置かれている。

がんセンターの中に設けられたカフェスペース(撮影:テックインサイト寺前郁美)

「ザ・ロンドン・クリニック」はハーレーストリート一帯に7軒の病棟を所有し、すべてを合わせると10の手術室と234床の病床、診察室、最新の3T、MRIスキャナーなどを含む幅広い設備を備えている。

年間12万人の患者を治療しており、あらゆる分野を専門とする数百人のワールドクラスの医療コンサルタントに相談することができる。

また同病院はチャリティ団体としても運営しており、寄付により医療の研究や教育、技術革新への貢献をしている。

チャリティ団体としても運営し、寄付により医療の研究や教育、技術革新への貢献をしている「ザ・ロンドン・クリニック」(撮影:テックインサイト寺前郁美)

「ザ・ロンドン・クリニック」でチャールズ国王の前立腺肥大症の手術を担当したのは、王室医務室の上級外科医であり、前立腺肥大症治療を専門とする泌尿器科の外科医ラナン・ダスグプタ医師(Ranan Dasgupta)だった。そして国王の「がん」も、この前立腺肥大の治療中に「別の懸念」として同病院で発見され、検査の結果「がん」の一種と判明した。

国王は英時間5日に最初のがん治療を受けたが、治療の場所や方法などについては公表していない。翌6日には米国から急遽したヘンリー王子と短い再会を果たし、その後カミラ王妃とともに英ノーフォーク州にあるサンドリンガムの邸宅に移動した

(TechinsightJapan編集部 取材・文:寺前郁美)

がんセンターのカフェスペースそばに設置されたテーブル席。窓際には英連邦国の国旗が飾られている(撮影:テックインサイト寺前郁美)

がんセンターのフロアに置かれたグランドピアノ。誰もが気軽に弾くことが可能だ(撮影:テックインサイト寺前郁美)

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