空港でペンギンを保護するという珍しいシチュエーションを楽しんだようだ。
この赤ちゃんペンギンは、フェアリーペンギンという種類だった。フェアリーペンギンはオーストラリア南部とニュージーランドに生息しており、体長30~40センチ、体重1キロという世界最小のペンギンである。体毛は青みがかったグレーで、ニュージーランドでは「ブルーペンギン」とも、ニュージーランドの先住民族であるマオリの言葉では「コローラ(kororā)」とも呼ばれている。
南半球に位置するニュージーランドは夏真っ盛りであり、当時の滑走路上の温度計は50度を超えていたという。野生動物担当スタッフのジャック・ハワースさん(Jack Howarth)によると、保護した赤ちゃんペンギンは体調が悪かったのかあまり反応が良くなかったそうだ。ジャックさんは、「このペンギンがどのくらいの時間、太陽の下に晒されていたのか分からなかったため、ウェリントン動物園内にある動物病院で、病気やけがをした在来の野生動物の治療やリハビリも行っている『The Nest Te Kōhanga』に連れていくのがベストだと考えました。彼らは以前にも、野生動物がやってきた際に手助けをしてくれたんです。今回も快く受け入れてくれて、赤ちゃんペンギンをクールダウンさせ、他にも問題がないかチェックしてくれました」と説明している。
同空港の周辺にはフェンスが設置されており、野生動物などが侵入できないようになっている。しかし今回の赤ちゃんペンギンはその小さな体で、フェンスの下を潜り抜けてしまったようだ。ジャックさんは、「ペンギンが空港内に入ってくるのは非常に珍しく、過去に例はありません」と驚いている。
ニュージーランド自然保護局によれば、フェアリーペンギンは一般的にニュージーランド本土から離れた島々に生息しているそうで、本土で見かけるのは珍しいという。しかしウェリントン国際空港によると、同空港の近くにあるライアル湾にもフェアリーペンギンが巣を作っているそうだ。今回の赤ちゃんペンギンは、ライアル湾にある巣に帰る際に迷子になってしまったのではないかと考えられており、同空港では同じことが起こらないように「ペンギン専用の対策を施した」とフィルさんは明かしている。
生後わずか6週間とみられている赤ちゃんペンギンは、動物病院で血液検査やレントゲン検査などを受けた。通常より体重が少なかったものの、健康状態は概ね良好であることが分かった。現在は体重を増やすためにたくさんの魚を食べているそうで、羽が防水効果のあるものに生え変わり次第、野生に戻されるという。
なお、同空港がInstagramに「とても珍しい訪問者が滑走路に現れました!」と赤ちゃんペンギンの写真を公開すると、「こんなに小さなペンギンを見つけたパイロットがすごい」「空を飛びたかったのかもね」「無事に保護されて本当に良かった」「なんて可愛いの!」といったコメントが寄せられている。
ちなみに2017年10月には米アラスカ州の空港で、滑走路に我が物顔で横たわったアザラシが日向ぼっこをしている様子が撮影されていた。
画像4~7枚目は『Scott Babcock 2017年10月23日付Facebook』『adam nasym 2019年4月9日付X「Maafaru Airport」』『Department of Conservation 2021年11月12日付Facebook「You might’ve caught up on the news of a rare visitor coming ashore in Christchurch」』『ARY News 2021年5月23日付「WATCH! ‘Lonely’ penguin hops on board tourist boat in Antarctica」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 iruy)