それから10か月と10日後の2022年12月5日だったという。
ドラリシさんはテックインサイト編集部のインタビューで、当時の様子についてこのように明かしてくれた。
「あれは腹痛とか軽いものではなかったわ。私は身体が麻痺してしまい、その後のことは何も覚えていないの。医師に気管切開を施され、チューブから栄養を摂り、集中治療室のベッドで目を開けたのは3か月後で、手を動かせるようになるにはさらに5か月かかったわ。そして退院した時は一人でトイレに行くことも、ベッドから起き上がることもできず、4か月を姉妹と一緒に暮らしたの。姉とは当時、足の指2本を使ってコミュニケーションを取っていたのよ。」
「それでも自分で呼吸ができるようになって9か月が経ち、今年3月には歩行器を使わなくても歩けるようになった。歩くのはゆっくりだけど、9月下旬には1マイル(約1.6キロ)を痛みを感じず歩くことができたし、卓球にも挑戦しているわ。それに退院してから筋肉が4キロ増え、自分で排泄も食事もできるし、症状は毎日少しずつ改善しているの。ただ今も車の運転はできないし、入院費40万ブラジルレアル(約1180万円)の支払いが残っていて、この先20年で返済しなければならないの!」
ドラリシさんは、5か月前から3匹の猫と一緒に暮らしていて、週3回はピラティスと理学療法を、週1回は呼吸理学療法と身体の痛みのためのセラピーを受け、木曜日は一日中病院で過ごしているという。
またブラジルの公共テレビへの出演やSNSの利用を通し、「危険を回避するために、より多くの人にボツリヌス症について知ってもらいたい」と訴えている。
なお問題の瓶詰めのソースを販売していた店のオーナーは、ドラリシさんに謝罪してきたそうだが、店は州の健康監視局の職員による調査が行われただけで、何らかの措置が講じられることはなかったという。
ちなみにフランスでは9月12日、ボツリヌス症が疑われる10人の集団感染者(うち1人が死亡)が確認され、原因は自家製のイワシの保存食だったことが判明している。またオーストラリアでは今年2月、市販のアーモンドミルクが疑われる感染が1件報告されており、ドラリシさんはこう述べていた。
「ボツリヌス症に免疫を持っている人などいないから、生産者は食品安全規則をしっかり遵守すべきよ。私はあの事故以来、レストランやスーパー、市場などで食べ物を購入する際は特に注意を払い、工場で生産されたものしか購入しないようにしているの!」
画像は『Palestrante e influencer em Saúde 2023年7月12日付Instagram「Vem pra live, vem!」、2023年8月29日付Instagram「Viver é sempre um desafio.」、2023年5月9日付Instagram「O trabalho de um fisioterapeuta na uti é fantastico!」、2023年8月31日付Instagram「Mais um dia de artes no @redesarah com a professora @ribacaline」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)