最終的に2人は別々の道を歩むことになった。
メアリーさんは1962年に別の男性と結婚したが、ジョセフさんも結婚式に呼ばれたそうだ。そしてメアリーさんはバレエシューズを脱ぎ、夫と3人の子どもを育てながら妻として母として家庭を切り盛りする暮らしに落ち着いた。一方で米陸軍の兵器研究開発センター「ピカティニー・アーセナル」に職を得たジョセフさんは、友人として何年もの間、メアリーさん一家と交流してきたそうだ。ただ、ジョセフさんが言うには、常に少し距離を置いていたという。
独身のジョセフさんは何人かとデートしてきたが、結婚に発展することはなかった。「私はいつも、ここぞという時に、いるべき場所にいなかったんです。いつも間違った場所にいた。それが私の人生でした」とジョセフさんは語る。
9年前に夫を亡くしたメアリーさんだが、ジョセフさんが彼女を再びデートに誘うようになったのは、2022年になってからだった。
「ある日、私は家でソファに座っていました」とジョセフさんは1年前を振り返る。
「そして他に電話できる人がいないことに気づきました。みんな、いなくなりました。90歳になって、初めて孤独を感じ始めました。」
メアリーさんによれば、ある日参加した教会の洗礼式で突然、ジョセフさんが「いつか私と一緒にお茶かランチをしませんか?」と誘ってきたそうだ。そこで2人は電話番号を交換し、再びデートするようになった。
それ以来、ジョセフさんとメアリーさんは数え切れないほど電話をしたり、映画を観たり、食事をしたりした。そんなある日、彼らがジョセフさんの家で寛いでいる時、ジョセフさんが勇気を出して尋ねた。
「もう一度、結婚することを考えてみませんか?」
ところが9年間一人暮らしをしてきて、自分が一人でも生きていけると知っていたメアリーさんの最初の答えは「分からないわ」だったそうだ。しかし同時にメアリーさんも、人生に何かそれ以上のものを望んでいた。
「私はいつもジョー(ジョセフさん)のことを気にかけていました」とメアリーさんは述べ、さらに「もしジョーと結婚していたら、私の人生はどうなっていただろうかと考えたことが何度もありました」と明かした。
64年の紆余曲折を経て10月15日、この恋物語はクライマックスを迎える。ジョセフさんは長い独身生活に終止符を打ち、カップルは教会で結婚の誓いを唱えた後、ケープ・コッドへの新婚旅行を予定しているそうだ。
このニュースがSNSで紹介されると、ユーザーからは2人を祝福する言葉が多数あがっている。
「まさにコレよ! 愛はとても美しいものね、お2人に幸あれ!」
「おめでとうございます!! 神の御加護がありますように。」
「時には、生涯をかけなければならないこともある、ってことだ。」
「先はまだまだ長い。俺も、急ぐ必要ないか。」
ちなみに6月には米フロリダ州で、高校時代に出会った2人が、60年以上の時を越えて結ばれたという。
画像は『New York Post 2023年8月23日付「Lifelong bachelor, 93, to wed woman he met at NJ wedding 64 years ago」(ABC7NY)』『ABC7 New York 2023年8月22日付「93-year-old bachelor to marry woman he met at a wedding 64 years ago」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 秋本神奈)